昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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バンコク滞在の二日目

日本とタイの時差はわずかに二時間。

普通に考えると何てことないのだが、歳を取ると就寝時間で大きな影響が発生する。

僕の常日頃は、午後八時には自室に引き上げ、二時間ほどゲームをやったり撮り溜めのドラマを見たりして、機械のような正確さで午後十時には眠りにつく。

ところがそのルーティンがタイでは通用しない。

白河夜船に至る時間は、ここタイでは何と午後八時。

阪神タイガーズの平田コーチなら、将に今から「宴も竹中直人!」になる時間だ。

このタイミングで寝るのは難しく、結局は眠たいのに眠れない状態が二時間ほど継続してしまう。

 

翌朝は、当たり前だが午前六時前には目が覚める。

しかしこの現地では午前四時にもなっていない。

アメリカのように昼と夜が正反対になる時差は厳しくも辛いが、しかし最初からそんなモノと覚悟をして出かける。

しかし東南アジアは二時間時差なので舐めてかかりがちで、その場合はしばらく変な疲労感が漂うことになる。

今回のタイ旅行二日目も、そんな違和感の中で始まった。

 

ホテルのビュッフェスタイルの朝食が午前六時半から始まっているが、僕は目が覚めて二時間半も経過しているので腹が減って仕方がない。

しかもバイキング形式の朝食は、欲張ってどうしても多くの品数を食べようとする。

しかし日本以外の国で、美味い料理に出くわす可能性は極めて低い。

このホテルでも日本料理を真似した寿司もどきが展示されているが、とても食指が動く代物ではない。

結局はヌードル、味噌汁、目玉焼きに野菜サラダを選び、全く味のないコーヒーで〆ることになった。

 

朝食が終わると、昼までやることがない。

すると妻が定番の「折角だから」と言い出した。

前回のバンコク旅行で、王宮(ワット・プラケオ)の一部を見逃しているらしい。

「それはなし!」の約束だったはずだが、ホテルにいても退屈だ。

ここはこれまでの人生経験で、ほぼ完成された(と思われる)人間性と包容力を発揮して、妻の提案に乗ることにした。

 

早速ホテル近くの桟橋から出港するフェリー乗り場へと向かう。

このフェリーが曲者で、料金は一人200バーツ。

円安のために日本円なら千円近くなる。

かなりの高価格だが、実態はチャチいボートに毛が生えたような大きさしかなく、ライフジャケット着用を求められた。
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こんな狭い川でそんなモノいらないと拒否したら、着用は義務とのこと。

ところが実際に動き始めると、意外にも川の波が高い。

横を大型フェリーが通ると、更に大きな波が襲ってくる。

そんなこんなで、僕の前のイスラム教徒二人組は波しぶきをまともに受けて悲鳴を上げていた。
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確かにこんな運航ぶりでは、ライフジャケットはマストになる。

 

20分ほど運行して、我々の目的地「ワット・プラケオ」桟橋に到着。

するとそこは人、人、人が押し合いへし合いの状況で、その合間を縫って歩くことになった。

やっと入り口まで来ると、受付風情の爺さんからタイ人独特の強い訛り交じりの英語で「今日の王宮は休み、明日来な」とにべもなく通告された。

団体客は入場できていたので、一般客だけを参観禁止にしていたようだ。

折しもこの日は国民から敬愛されていたプミポン前国王の誕生日らしく、彼を慕ってタイ人の多くが集まっていたのだろう。

 

唯一最大の目的地がダメになると、もはややることがない。

しかしそこは転んでもただでは起きない妻なので、すぐに代案を思いついた。

「では近所のワット・ポーに行こう!」

確かにそこなら急ぎ足なら10分もかからない。

しかもそこには、有名な涅槃仏が鎮座している。

それこそ「折角ここまで来たのだから」と、目的地を変更することになった。

 

しかしここから苦行が続くことになる。

午前九時ころのバンコクの気候は、もちろん暑いが日本の猛暑に比べると過ごしやすい。

・・・・・・などと甘く見ていたらどんどんと気温が上がり、同時に湿度も高くなってきた。

そんな中を歩き回るのだから、体中から汗が吹き出してくる。

しかもワット・ポーは同じような建物が多く、どこに目指す涅槃仏が安置されているのか分からない。

あちこちで質問を繰り返した結果やっと目的の仏像を探し当てたが、その頃にはすっかりスタミナ切れで、這う這うの体でホテルに戻ることになった。
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ホテルで一休みしていると、妻が「体調が悪い」と言い出した。

何でも昨日のタイ料理の刺激が強すぎたらしい。

「用心のために持ってきたおかゆを食べるので、アナタはどこかで外食して」と頼まれ、方向音痴で出不精の僕が夕食を求めてバンコク市内を歩き回ることになった。

すぐに市内の有名ラーメン屋をチェックし、地図を片手に店を探す。

しかしこの変だと目星を付けるものの、行けども行けども辿り着けない。

すると一転にわかに掻き曇ってきた空から、ポツポツと雨が降り始めた。

小雨だから気にすることはないとそのまま突き進むと、五分もしないうちに物凄いスコールになった。

慌てて雨宿りをしたが、そのまま豪雨の状態が小一時間続いた。

やっと小雨になったところでもう一度探してみたが、どうしても見つからない。

仕方なくホテルに戻る途中、まさに灯台下暗しですぐ近所に別のラーメン屋を発見。

すぐに注文するが、店主が出てきて「明日開店なので現在社員のトレーニング中、今日は提供不可」とのこと。

万策尽きてしまい最後の手段、セブンイレブンでインスタントラーメンとおにぎりを調達して帰路に就いた。

部屋に戻って食べたラーメンの不味いこと。

しかし昨晩に比べて三十分の一のコストで夕食が済んだことを良しとしよう。

・・・・・・とあくまで前向きの結論で二日目終了。