「１ヤードでも遠くに！」これこそゴルファーに共通の望みだ。
誰もが飛距離アップの為に、エクササイズしたりクラブやボールを変えたりと、涙ぐましい努力を重ねている。
またクラブメーカーも悪い。
「このクラブを使えば、有名プロゴルファー並みのショットが出ます」みたいな、明らかに誇大広告をサブリミナルの様に流し続けるので、クラブを変えたら何とかなると思い込んでしまう。
昨日のキャディは、ホームコース所属の研修生だったが、彼に「ドライバーはナンボ飛ぶの？」と聞くと、「僕の場合は２５０ヤードです」と答える。
するとさっそく同伴の一人から「僕とあんまり違わないナァ」と勘違い発言。
プロを目指すようなお兄チャンと、我々ド素人が同じはずがない。
自分をしっかり知っている人は謙虚に語るが、一般的なゴルファーに「あなたのドライバーの飛距離は？」と聞くと、さっそく自慢話が帰ってくる。
「大体２５０ヤード」はまだ可愛く、「２７０ヤードかな？」、極端には「２９０～３００ヤード」みたいな、恐ろしい程に思い込んだ人達が多い。
大多数のゴルファーは、自分の飛距離を勘違いしている。
中部銀次郎大先生は、「クラブの飛距離は平均を言うべき」と書いていた。
一発３００ヤード近いドライバーショットがあったとしても、１００ヤードしか飛ばない事もあるはずなので、「平均で２００ヤードの飛距離があれば大したもんだ」と言っている。
左様！
我々クラスのゴルファーには、平均で２００ヤード程度の飛距離があれば充分過ぎる飛ばし屋なので、クラブを変えたり、レッスンを受けたりしてそれ以上を求める必要はない。
一番大事なのは、ロボットのように同じ事を繰り返す能力で、必ず１５０ヤードを曲げずに打てれば、どんなに長いパー５でもボギーオンは可能だ。
適当な安クラブを、全くの我流フォームで適当に振っていれば、ソコソコにはスコアがまとまるはず。
と、そんな事は分かっていても、中部大先生のように人間が出来てしまっていれば悟りゴルフでも面白いのかもしれないが、僕の様な俗人の権化には、煩悩の中で足掻き廻るからこそ楽しい。
いつもナイスショットが出るものと思い込み、自信満々ショットした途端に現実に引き戻され落ち込む。
新しいクラブは、素晴らしいショットを約束してくれるに違いないと勝手に信じ込む。
こんな事の繰り返しが一番いい。
ドライバーでの飛距離への拘りが、ゴルフ煩悩の最たるものの一つである事は絶対に間違いない。
