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世界中の中国経済依存と新疆ウィグル騒乱

チベットに続き新疆ウィグル地区でも暴動が発生、胡錦涛中国国家主席はサミットをすっぽかして緊急帰国した程だから、内情は大変なのだろう。
14億とも15億とも、あるいは一説には20億以上とも言われる中国の人口のうち、大半は漢民族で、少数民族は10%程度らしい。
当然、漢民族主体の国家運営になるだろうし、少数民族には被害者意識が高まってくる。
少数民族問題は、膨張路線で領土を拡大してきた中国が内部に抱え込んだ最大矛盾の一つだ。

しかし前回のチベット騒乱の報道に比べ、今回のウィグル反乱はいささか趣が異なる。
前回のチベット騒乱では、中国政府は報道管制で秘密主義をとった。
海外メディア報道を規制、何が起きているかを徹底的に隠し通した。
その為世界中から非難され、「中国は信用できない」との印象を強くした。
それに懲りてか、今回のウィグル騒擾では警察による規制状況まで海外メディアに公表している。
そしてその映像を通して見る限り、今回のウィグルでは中国政府と漢民族が一方的にワルとは見えない。
わが愛読紙産経新聞は中国批判の急先鋒だが、その産経でさえ中国政府の責任だけを追求してはいない。

ウィグル側には、漢民族が大量に移住し経済の中心を全て支配、地方の経済発展の恩恵を独占しているとの不満が鬱積している。
元をただせば、「新疆ウィグルにある豊富な天然資源は全てウィグル族のものだ」との思いもあるだろうし、更には民族的にも宗教感も全く異なる漢民族が支配する中国から独立したいとの思いも強いのだろう。
問題の本質は漢民族が富を独占している事にあるのかもしれないが、ウィグル族は自分達が置かれた悲惨な状況を打破する為に暴力的手段で漢民族と衝突したようだ。
今回は遥か離れた広東州で、ウィグル族が漢民族から攻撃を受けたとの被害者意識もあるようだ。
一方の新疆ウィグルの漢民族側は、広東州の事など関係ない。
ある日突然ウィグル族から襲撃され、自衛の為に武装、次には先制攻撃へとエスカレートした。
今回の海外報道からは、そのような流れが見えてくる。

従来なら、ウィグル世界会議の主催者が声高に中国を非難する事で、「全ての原因は中国政府が少数民族を弾圧しているからだ」と断定されていた。
しかし海外メディアが、ウィグル人がバスを破壊したりする光景や、漢民族がウィグル人に襲撃されたとの報道を流すと、少なくとも今回の騒乱でウィグル族が一方的な被害者とは言い難くなる。
今回は死者の数さえ漢民族の方が多い。
中国政府としては、こんな事なら前回のチベットでも世界メディアへ情報公開した方がよかったと思うのではないだろうか。

冷静に見れば、前回のチベット騒乱は北京オリンピックの直前に発生した、チベット側からの極めて政治的な仕掛けだったのだろう。
虐げられていると不満が強いチベットが、中国政府が一番困るタイミングで政治闘争を仕掛けるのは、弱者の常套手段で非難されるものではない。
漢民族チベットにも大量に進出、地元経済を押え、チベット経済の中心的存在となっている。
チベット側は、経済発展の恩恵にもあずかれない。
新疆ウィグルと全く同じ状況だ。

しかしあれほど大騒ぎした割には、今やチベット問題の解決を喫緊に中国に迫っている国などどこにもない。
中国で少数民族が独立を画策すれば、中国政府から厳しく弾圧される。
中国政府は、国際的に認められている(と主張する)中国領土の一欠けらですら手放す気持ちなどない。
そんな中でチベットやウィグルが独立を勝ち取る為には、国際的な圧力以外に方法はない。
しかし今や世界経済は中国を軸に展開されている。
中国への売り込みや中国との関わり無しでは、世界経済は成り立たない。
勢い、中国の発言権は益々強くなり、世界中が中国に遠慮しなければならなくなってきている。

僕は、膨張し続ける中国には、政治的にも経済的にも不安感を強く持っている。
新疆ウィグルやチベットの独立を支援しようとするのなら、まずは経済的中国依存をやめるべきだ。
中国を経済的にも政治的にも孤立させない限り、独立支援活動は単なるマスターベーションで終わってしまう。
しかし果たして世界は、中国の少数民族問題でそこまでの覚悟が持てるのだろうか。