昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

非難するべき本題は中国の人権弾圧で、ブーメランではない!

中国報道官の発言が、物議をかもしている。

アメリカから、中国政府によるウィグルへの人権弾圧を指摘され、「アメリカだってインディアンを虐殺した」と逆ギレし、反批判したものだ。

 

早速ネット社会で、中国が実質的にウィグル人虐殺を認めた発言と指摘されている。

確かに、「過去にアメリカがやったことを、中国がやって何が悪い」との開き直りに聞こえるので、中国政府を代表した立場でのこの発言はいただけない。

「衣の下の鎧」を見せてしまったこの報道官は、中国共産党トップから、厳しい叱責を受けるに違いない。

 

しかしこの発言を冷静に聞けば、僕も含めた日本右派勢力への警鐘ともとらえられる。

この中国報道官の論理構成は、日本のサヨクや野党のブーメラン現象を揶揄、攻撃する、右派の論法と全く一緒だからだ。

例え、批判する側も過去に同じことをやっていたとしても、指摘された問題が不問に付されるものではないのだ。 

分かりやすい例で言えば、立憲民主党蓮舫への、右派からの批判がそうだ。

目立ちたがり屋なくせに軽薄な蓮舫は、何か与党に問題が発生すると、条件反射以前の脊髄反射で、必ずSNSで意見を述べる。

それが悉く自分への反批判につながり、今や「政界一のブーメラン名手」との評価が定着していて、情報発信する度に、右派からは格好の揶揄いの標的になっている。

最近では、安倍首相の「桜を見る会」への対応を批判して、「首相が要求されている資料さえ示せば、この問題はすぐに解決する」と力み返った。

途端に「オマエが言うな」とか「二重国籍問題で戸籍さえ提示すればよかったのに」とか十字砲火を浴びた。

 

日本の野党は、過去の己の態度や発言に全く無警戒、無頓着のまま、現状の時流に乗って与党を批判するために、度々ブーメランを引き起こしてきた。

そして、その度に信用を失い、有権者にソッポを向かれてしまっている。

これは彼らのDNAに、相手は間違っているから駄目だが、自分たちは正しいから許されるとの勝手な思い込みがあり、それが究極のダブルスタンダードになっているから発生する必然的な現象だ。

権力の暴力反対と叫びながら、自分たちの意見を通すための暴力も許されるとか、アメリカの核兵器は悪だが、ソ連、中国は正義の核などはこの思想の典型だ。

 

だからブーメランを繰り返す野党への、同情の余地はゼロだ。

 

しかし中国報道官の発言に戻れば、彼の発言をブーメランと嘲笑しても意味がない。

問題は、中国政府のウィグル人民族浄化政策をやめさせることであり、中国がアメリカの過去を論ったのなら、それについての見解を避けるわけにはいかないのだ。

確かにアメリカも、インディアンには非道で許されないことをやってきた過去がある。

中国のウィグル人虐殺を批判するのなら、アメリカの過去の反省は必須だ。

 

アメリカのそれは、200年前の西部開拓時代の話だ。

しかしつい最近までのアメリカは、西部劇でインディアンを一方的に悪者に仕立て上げ、インディアンを退治するジョン・ウェインを英雄扱いしてきた。

その点を中国に指摘されれば、先ずは贖罪から始めなければならない。

実際にアメリカは、今では呼び方もインディアンではなくネイティブ・アメリカンに変え、過去のインディアンへの対応を公式に謝罪している。

 

だから勿論、中国とアメリカを、同一視することはできない。

中国のウィグル人権弾圧は、アメリカの過去とは違い、現実に今発生している問題だ。

200年前のアメリカを持ち出すことで、現在の中国の政策を合理化はできない。

 

同様に、日本の野党のブーメラン批判も、与党の疑惑への説明は不可避だ。

ただ、日本の野党からの与党批判は、単なるイチャモンで嫌がらせのレベルなので、三年近く続いたモリカケ問題でも、具体的な証拠は何一つないまま、「疑惑が深まった」との印象操作で終わった。

桜を見る会」問題も「安倍首相の公私混同は酷い」との感情的批判に終始している。

だからいくら時間をかけても、政権への痛打にはならない、

しかも鳩山政権時代にも、今回の批判と同様なことをやっているので、「またしてもブーメランだ」と切り返されてしまう。

この問題も、いくら野党が力んでも、結局は尻すぼみで終わるだろう。

だからと言って、与党側が「ほら見たことか」と野党を小馬鹿にしてはいけない。

やはり問題視された点は、解決の道筋をつけ、謝るべき点は謝罪しなければならない。

 

アメリカだって、インディアンだけでなく、黒人奴隷やベトナム戦争、中東のクーデター画策など、褒められない過去がある国だ。

今回中国から、インディアンへの弾圧を指摘されたアメリカは、自分たちの過ちについての見解を、国際社会に対して説明するべきなのだ。

その上で、中国によるウィグル人への人権圧殺を、厳しく非難しなければならない。

 

日本の与党もアメリカも、野党や中国の幼稚性を笑うだけでは、ウィグル人弾圧反対への支持を拡大することはできない。

非難するべきは中国政府の人権弾圧であり、初歩的で愚かなブーメランではない。