昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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昔はアイアンショットがネェ......

その昔名門「紫カントリークラブ」でプレイした時、かなり年配のキャディがついた事があった。
年寄りなので、動きは緩慢そのもの。
しむらけんが演じる、キャディの「ヒトミちゃん」を想像してもらえばよい。

ほとんどカートから離れないので、クラブもこちらが取りに行かないといけない。
「ナイスショット!」なる掛け声も、いかにも力がない。
パターのライン読みもテキトウなので、だんだんこちらも聞かなくなる。
そうこうしているうちに、それがキャディとのリズムになってくるので、「今日はこんなものか」とあきらめると、腹も立たない。
後半になると妙に打ち解けて、世間話で孫の自慢まで聞かされた。

いよいよ最終ホールのアイアンがグリーンを捉えた時、彼女が「○○さん、今日一日見てきたけど、アンタいいアイアンを打つねェ」と声をかけてきた。
「ワタシャ、長い事キャディやってるんで分かるけど、アンタのボールには魂がこもっているね」
だって。
そんなに心をこめてショットしているわけではないので、自分では何の事やら分からないが、褒め言葉である事は間違いないようだ。
そう言えば、ホームコースで初めてラウンドしたメンバーからも、「○○さん、あなたは私が一緒した人の中でも一番アイアンがうまい」と絶賛された事もあった。

あれから幾星霜。
今年絶好調で天下を取ったような気持ちになっていたアイアンショットの主は、今やヘニャヘニャのシャンクに怯え悩んでいる。
奢る者久しからず。
栄枯盛衰。
祇園精舎の鐘の音が聞こえているような気がする。

何だか過去の栄光にすがっているようで誠にみっともないが、シャンク病の恐ろしさを知っているだけに、いい記憶を思い出すイメージトレーニングは暗闇の中で仄かな明かりになるかもしれない。
もう一度、魂のこもったボールを打ちたいものだ。
紫カントリーに出かけて、あの婆さんキャディに見て貰おうかな!
もう死んだかもしれないな!