昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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某超有名プロの応援団設立総会に出席

例の、「横峯さくら、命」社長から召集令状が来た。
「日本女子プロゴルフ界の牽引者、横峯さくらの私設後援会を設立する事になった。
ついては、さくらプロを応援する同志の皆様にご参集いただき、盛大に設立総会を開催したい」。

横峯さくらプロへの恋心が更に募り、ついに病膏肓に至ったようだ。
文面から、社長の横峯さくらプロへの必死の思いが伝わってくる。
後援会ったって、会費5千円を納めれば、誰でもすぐに会員になれる。
よくある話だが、渡世の義理で出向かないわけには行かない。
そう思って、去る田舎町まで出向いた。

某月某日、某地方都市の某ホテル。
社長の呼びかけに、社員だけでなく、会社の取引先が多数馳せ参じた。
その数、おそらく3百人ほど。
花束だけでも100基は下らない。
社長へのゴマスリもあり、我が社もちゃっかりと一基寄贈したが、何とど真ん中に鎮座していた。

18時スタート。
初っ端は、横峯芳郎パパからの挨拶。
「何の縁もゆかりもないのに、さくらを熱心に応援頂き本当にうれしい。社長は親よりさくらに詳しい」と、感謝の念が述べられた。
続いて伊藤園レディスでの池ポチャに触れ、「11番ウッドは引っかかりやすいクラブなんです。しかしさくらのミスよりも、難しい17番でバーディーをとった麻子ちゃん(藤本麻子)が優勝すると思った」と、勝者を褒め、敗因を語った。
週刊誌では何かとお騒がせ氏だが、話を聞く限り、娘思いの好々爺だ。
18時半には主役のさくらプロ到着予定だが、全く姿を現さない。
ゲストがザワつくので、社長が「本来はさくらチャンに話したかったが」と、会設立の趣旨を説明した。
曰く、
 ・今年は今まで、17試合でさくらプロを追っかけた。
 ・誰からも、何故社長はあんなに横峯さくらを応援するのかと質問される。
 ・彼女は、155cm、52kgの体で、女子プロゴルフ界を引っ張っている。
 ・あんな小柄な女性でも、日本中に感動を巻き起こす。
 ・大の男の自分が出来ないはずがない、そう思って仕事をしている。
 ・彼女のゴルフに勇気付けられるのは、自分だけではないはずだ。
 ・伊藤園レディスの18番、彼女は攻めたんです。
 ・彼女のゴルフには、散りあえずグリーンの真ん中に乗せようなどの気持ちはない。
 ・だから応援するんです。
と、ボルテージは上がりっぱなし。

主賓席の取引先会長から、「社長の気持ちは良く分かった。だけどここでは、さくらプロも大事だが奥さんが一番と言うてください」と、いかにも座をまとめるには聞こえの良い声がかかった。
社長は一瞬首を傾け、同席していた奥方を壇上に上げた。
そして「誰が何と言おうと、一番はさくらチャン、二番が孫、三番が妻です。これでご勘弁を」と、あくまで自説を曲げない。
奥さんも苦笑いだが、満場は割れんばかりの拍手喝さい。

予定より一時間遅れで、やっと横峯さくらプロが到着した。
事前に、スタッフから写真撮影やサインをねだらないようにと念を押されているのに、ルール知らずどもが、カメラ持参でステージ付近に殺到する。
来賓の市長挨拶が終わり、ハイライトが、社長が二番目に可愛がる三歳の孫からの記念品贈呈。
ところがあまりのゲストの数に、一ヶ月に亘って練習を繰り返したはずの孫が、ぐずり始める。
さくらプロは、三歳の子供の目線に座り込み、勝負士の顔ではなく、普通の優しいお姉さんみたいに声をかけていた。
なかなか好感度アップの場面だ。
トーナメントの準備があるらしく、さくらプロの滞在時間は30分ほど。
司会者に促されて「こんなに多くの皆さんに応援して貰って、更に頑張らないといけないと思いました。今後とも応援宜しくお願いしまァす。」と、女子プロ定番の挨拶で〆めとなった。

僕は元来、横峯さくらプロに対しては、好きでも嫌いでもなかった。
だけどこんなに一所懸命に彼女を応援している人と知り合いになると、どうしても情が移る。
伊藤園レディスの18番、彼女の二打目が池に消えた時は、思わず「アッ」と声が出た。
しかしあのミスショットでさえ、「攻めに徹したから」と彼女のゴルフを絶賛する人もいる。
この後援会の会則には、「可能な限り、彼女の試合に赴き応援する義務を担う」と謳ってある。
社長は「来年こそ20試合を追っかける」と宣言した。
仲間の一人として、当方も、可能な限りの応援をしないわけにはいかない。
不思議なもので、そんな気持ちになった。