昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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熱波の夏

7月16日は、今年初めての猛暑日
日中の温度が35℃を楽々と突破、熱中症で680人が搬送された日、そんな熱波の夏に、そのオトコは戦場にいた。

スタート時間は9時半。
オトコは、戦いに臨む時に恒例の、満身に気合いを込めた素振りでドライバーを振り回す。
と、それだけで、汗が滴り落ちる。
それからの自分自身との壮絶な戦いを前に、オトコの武者震いが続き、周囲にも緊張感がみなぎる。

オトコの帽子は美津濃製、昔の軍人が着用していた軍帽にも似た、首筋を守るシート付きの新兵器。
ウェアの中身は、汗を吸収し涼しさを招くSKINS白のロングスリーブ、黒のスポーツショーツ、足元は白のカーフタイツ。
全身を近代兵器で武装して、ついにオトコは戦場に立った。

見渡す限り、青々としたグリーン。
第一打落下地点のイメージは、遥か250ヤード先のフェアウェイど真ん中。
ついに、全身全霊を込めたドライバーが放たれた。
「ウリャ~ァ!」
しかし、打ち出された玉は、イメージを違う方向に飛び出し、イメージよりも遥か手前に着地。
早速、「こんなに暑いのに、少し練習しすぎたかな」と、聞き苦しい言い訳が始まる

ラウンドが進むにつれて、体感温度も上がる。
昼前には、恐らくは40℃を超えていただろう。
ハーフを終わる頃には、2ℓ近い水筒がほとんど空っぽになっていた。
昼食時は、まさに気息奄々。
「こんな暑い日は辛いものに限る」と、四川風麻婆定食を注文。
水筒に氷水を補給して、いざ午後の部へ出陣。

ラウンド中の歩行は、できるだけ林の中。
ティーグラウンドで待っている時も、何とか見つけた日陰に避難。
饒舌な仲間達だが、顔中汗だらけで、いつになく無口にプレイしている。
いつもならフットワーク軽く、仲間のボール探しを手伝うが、ただでさえラフが深いのでボールを見付け難いのに、更に場所が遠く離れると、最早義侠心を発揮する気にもならない。
「適当にロストボールにしたら、何なら罰無しでも良いよ」と、ゴルフ道にうるさい日ごろの所作振る舞いからは信じられない言葉まで聞こえてくる。
時間が経過するにつれ、麻婆豆腐の辛さが口の渇きを早くする。
まさに、水を浴びるように飲み続けるが、すぐに汗となって体外に放出される。

それでも一人の落伍者もなく、18ホールを完走。
倒れこむように風呂に入り、やっと人心地ついた。
落ち着いてくると、お互いが一日の難行苦行を耐えたことを、些か大袈裟な表現で褒めあう余裕が生まれる。
あんなに辛いラウンドだったのに、喉元過ぎれば何とやら。
近いうちの再会を誓って、お開きとなった。
全く、馬鹿は死ななきゃ直らない。