昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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もっと止まれ!

ゴルフが紳士のスポーツなんて、あれは嘘だナ。

確かに普通の勝負事は、対戦相手の嫌がる事をしないと勝てない。
テニスにしても野球にしても、相手の弱点を攻め、相手が困る事を積極的に仕掛ける。
しかしゴルフは、相手がどんなに良いショットをしても、それを上回るショットをすれば勝つ事が出来る。
いわば自分との闘いだ。
だから対戦相手の良いショットに対しては、「グッショッ!」と、心から賛辞を贈る。
これがゴルフのマナーであり、よって「ゴルフは紳士のスポーツ」と称えられてきた。

しかしそれは、あくまで建前。
実際に競技をしていると、相手が失敗してくれた方が助かるし、嬉しい。
特にマッチプレイになると、この傾向がより顕著になる。
一応は相手のミスには、「惜しい!」とか、「残念!」とか、紳士然と声をかけるが、本音は「やったァ!」であり、「これはチャンス!」と奮い立つ。

そもそもゴルフは紳士的に振る舞わなければならないとは、ボビー・ジョーンズの数々の逸話が作り出した幻想であり、今や無い物強請りなのではないだろうか。
昔は一部の金持ちの趣味だったゴルフも、今やすっかり大衆化した。
あらゆる老若男女が、こぞって着飾り、こぞってゴルフプレイに興じる時代だ。
そうすると、品性卑しき輩だってゴルフを楽しむし、ゴルフ場を徘徊するケースが増える。
そんな連中に、「ゴルフをする時(だけ)は、紳士的に振る舞え」と強制すること自体が難しい。
実際のゴルフ場は、ドレスコードの乱れに始まり、グリーンを走ったり、傷つけたり、自分のスロープレイに気が付かなかったり、悪いショットやパターをキャディの所為にしたり、ゴルフ場で狼藉の限りを尽くすようなプレイヤーが増えている。
それを嘆き悲しむ人もいるが、「大衆化したゴルフなんてそんなモノ!」と諦めた方が現実的だ。
第一ゴルファーの見本となるべきプロだって、見るからに町のアンチャン、場末のホステス風情が散見され、とてもじゃないが、紳士の集団が醸し出す雰囲気からは程遠い。

偉そうにしているが、斯く言う小生も決して褒められたゴルファーではない。
ほんのちょっとしたチョコレートのニギリにも拘り、絶対に負けたくないとファイトを燃やす。
例のオリンピックゲームで、相手がこのメダルでロイヤルストレートフラッシュ完成となると、わざと遠くにアプローチをして阻止したりもする。
それでも世間からは、それなりのゴルファーと思われているはずだが、こんな振舞いのどこが紳士的なのだろう。

その権化が、「もっと止まれ!」、あるいは「もうちょっと止まれ!」の掛け声だ。
これは、グリーン上で相手のパターが強すぎて、ボールがカップを通り過ぎた時、あるいは相手のショットがOB線上に飛んで行った時に発せられる。
一応は紳士の仮面を被った発言だが、本音丸出し。
しかし、いつも相手に気遣い、心にもないお世辞が飛び交う様なゴルフよりも、こんな気の置けない仲間とのお遊びゴルフの方が楽しいものだ。