昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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大塚勝久、いい加減にセェ!

相変らず、大塚家具の親子喧嘩が姦しい。
前回の株主総会の久美子社長の完全勝利で、決着がついたと思っていたが、勝久前会長は経営者への返り咲きを、全く諦めていなかったようだ。
自分が株の管理会社、ききょう企画に譲渡した株について、15億円の対価を払うか、株を返せと訴訟を起こしていて、その裁判が始まった。
親子喧嘩の第二幕開始だが、裁判所の親子の所作振舞いはまるで正反対。
あくまで冷静沈着な久美子社長に対して、感情丸出しで娘を糾弾した勝久前会長。
見ものとしては面白いが、経営の眼から見れば、「勝久、いい加減にセェ!」だ。
 
前回の株主総会の時も感じたが、大塚家具は大塚勝久の手腕で上場会社にまで大きくなった。
それは間違いないが、経済環境が変われば、やり方も変えなければならない。
大塚家具は、勝久氏前会長案の独自接客方法で、顧客を取り込んできたようだ。
しかし僕も含めて、今の顧客は、店員に張り付かれると煩わしく思ってしまう。
情報はネットに溢れているので、自分で商品を選び、必用な時だけ店員に質問するような買い方が主流になっている。
海外巨大ライバルが日本進出し、競争が激化している中で、久美子社長は、従来のやり方では顧客をつなぎとめられないと考え、新しい販売スタイルを追求したようだ。
ところが勝久前会長には、それが自分の今までのやり方を否定し、自分が確立してきた大塚家具の社風を壊すと考え、久美子社長追放に動いたのが抗争の始まりと言われている。
 
勝久前会長の思いは理解できないでもないが、それは老いの一徹で、今はもはや通用しない。
そんな事は、事業に関わっている人間には常識だ。
実は事業で一番厄介なのは、過去に大成功を納めたやり方をどう変えていくかなのだ。
成功体験が大きければ大きいほど、それに捕われ拘ってしまい、新しい展開が出来なくなる。
特に成功に導いた人が事業の関係者、とりわけトップに残っていると、改革改善は絶望的に難しい。
大塚家具の親子喧嘩は、それを如実に物語っている。
 
大塚勝久が、稀代の事業家であった事は、異論を待たない。
しかし、彼にはプラス面だけでなく、マイナス面の、稀代の頑固オヤジである事もまた事実のようだ。
世間を呆れさせるような親子喧嘩を仕掛けた挙句、自分が追放されて決着したはずだが、新生大塚家具が順風満帆に再出発した事も、「自分がいたから」とは笑わせる。
大塚勝久の、余りにも我田引水で、自分勝手な思い込みには呆れ果てるばかりだが、更に彼の、古色蒼然とした経営理念も笑ってしまう。
しかし、当事者の大塚家具にとっては、親子喧嘩の帰趨次第では、勝久前会長の社長復帰の可能性もある。
その場合、経営方針が今とはマル反対になるのだから大変だ。
 
心ある社員にとっても、正直なところ「勝久、いい加減にセェ!」だろう。
大いに同情するが、これもまた社員の運命。
企業は、社長の器以上には、絶対に大きくなれない。
新生大塚家具で、今回の親子喧嘩を思わせるテレビコマーシャルが話題になっている。
仮に、勝久前会長が社長復帰すれば、果たしてこんな新しい感覚の挑戦が出来るのか?
同族経営のオーナー経営者の枠を突破できなければ、大塚家具と言えども、成長を持続する事は出来ない。