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妻の入院見舞い

突発性顔面神経麻痺って、なかなか難しい病気だ。

先週金曜日に発症、土曜日には急きょ入院となったが、その時の医者の説明が何とも分かりにくい。

 

この病気にはステロイド投与しか治療方法はない。

しかしその効果が表れるまでには、結構時間がかかる。

その結果数日間は、却って事態が悪化することがある。

入院期間は、最長十日間。

しかし、入院せずに、自宅治療でもOKだと言う。

 

自宅でのステロイド投入には細心の注意が必要なので、患者に過度のストレスがかかる。

それなら入院して、専門医の指導に任せた方が良さそうだ。

また入院期間も観光と同じで、五日間、七日間、十日間コースが準備されている。

これもまた、後は自宅での投薬になるので、その期間は短いに越したことはない。

そんな感じの、かなりいい加減な入院なのだ。

 

と言うことで十日間の予定で入院したのだが、退院日も5月2日と決定している。

一般的には、入院後患者の容体が改善され、最早入院の必要がなくなった時に退院するイメージだが、この病気はそうではない。

入院期間でステロイド治療を施し、その効果が出ようが出まいが、十日後には退院してしまう。

後は通院で、投薬治療となる。

短期で投薬効果が出る人もいるが、通常は長期戦を覚悟しなければならず、完治するまでには半年はかかるようだ。

 

そんな訳で、妻は入院することになった。

今回は六人部屋での入院だが、周りの人は重度のがん患者ばかり。

その中で妻はただ一人、顔面麻痺とは言うモノの、傍から見ても何一つ異常はない。

無論、医者が完治までにかなりの時間を要するという病気だし、本人は顔面に違和感を持っているらしいのだが、日常生活に支障をきたすものではないので元気いっぱいだ。

隣のベッドのがん患者とも仲良くなっているが、彼女たちが羨むほど歩くスピードも普通に速い。

ステロイドの副作用で血圧が上がっているが、食欲は旺盛。

入院中は生活が単調そのものになるが、数少ない変化を感じることが出来るの食事も、家にいる時にも見られないほど完食している。

しかしテレビを見るのも、本を読むのも、顔面麻痺にはよろしくない。

その為に食事が終わるとやることがないので、入院生活が退屈で仕方がない。

 

そこで当方は、見舞いが可能な時間になると病院に赴き、あれやこれやと雑談することになる。

周りのがん患者たちからは、「優しい旦那さん」と言われるらしいが、当方も家に一人でいるよりも、夫婦で話している方が楽しい。

また「よくそんなに話すことがあるね?」と冷やかされるが、こちらは共通の話題が多いので、時間の経過が気にならない。

そんな訳で妻の入院中は、平日は約5時間、休日は9時間近く、病院で過ごすことになる。

 

妻の顔面麻痺の症状は、恐らくは知らない人が見ても気が付かない程度だ。

ただ話し方を注意深く聞くと、ほんの少しだが空気が漏れているような気がする。

一番顕著な症状は、瞼を閉じても、麻痺がある左目が閉じないことだ。

どうしても、白目を剥いた半開き状態になる。

目を開けるのは、すぐにできるので、閉じる筋肉が麻痺しているのだろう。

しかしその半開きの状態が面白くて、何度見ても、大笑いしてしまう。

本来は不快なはずの妻も、引きずられて大笑いする。

そんなことを繰り返しているので、入院の悲壮感や緊張感が全くない。


むしろ問題は、退院後の治療に万全を期すことだ。

麻痺の完治を目指して、焦らず弛まず、医者の指示を守る日常が続くが、夫婦で協力しながらの療養が重要のようだ。