しかし彼女の支持率は80%。
と言うことは八割の人が、僕のことを頓珍漢と思っていることになり、やりきれない思いだった。
この時は、日本中の嫌われ者、森喜朗が敵役だったので、当初は楽勝と思われていたが、IOCバッハ会長との面談でゼロ回答を食らい、結果として画策した三会場変更とも元の鞘に収まってしまった。
この時の敵役は、石原慎太郎元都知事と、小池百合子が「東京都のドン」と攻撃した内田茂だったが、盛り土がなされていなかったことと、問題なかったはずの地下水汚染が明らかになり、一気に小池百合子優勢の局面となった。
しかしここにきて、潮目に変化が出ている。
まだまだ70%近いとはいえ、支持率が下落傾向らしいのだ。
先ず小池百合子の金看板だった情報公開について、全くの我田引水ぶりが明らかになった。
しかも築地のデータについては、意識的に公表を避けていたこともバレた。
また豊洲地下水の汚染テストでも、それまでのやり方をわざわざ悪い数値が出る方法に代えている。
確かに石原慎太郎は、齢を重ね、かなり耄碌している。
受け答えに昔の切れ味がなくなり、記者会見でも百条委員会でも、評判が良かったわけではない。
しかし流石に往年の大作家だけあり、最後の最後で「科学が風評に負けてはいけない」と、小池百合子に蜂の一刺しを見舞った。
確かにそうなのだ。
こんな場合、科学的に安全ならば、国民、都民を説得するのは為政者の仕事だ。
更に言えば、小池百合子は自分に反対した連中への復讐心で、都政を壟断しているとの疑念がある。
自分が与党であり、自分への反対意見は野党と勝手に決めつけているだけだ。
これでは健全な地方政治にはならず、単なる独裁者都知事と忠実な下部都議会の関係になってしまう。
また築地市場の汚染や危険性は、とうの昔から分かっていたが、現実に商売をやっている業者を慮って敢て問題視してこなかったのに、余りにも豊洲が悪者になってしまったために、その比較として白日の下に曝け出されてしまった。
もはや、「汚染塗れの豊洲」対「信頼できる築地」の構図は、誰からも信用されない。
これほどのデータが明らかになった以上、移転問題をこれ以上先延ばしする意味がないだけでなく、むしろ移転延期による経費アップが大問題になってしまった。
ここに来て急激に高まっている「移転問題に結論を」の声は、そのような背景からきている。
そもそも改革を掲げた新党は、「新自由クラブ」の河野洋平、「日本新党」の細川護熙、「民主党」の鳩山由紀夫、菅直人、小沢一郎、「みんなの党」の渡辺義美、「新党改革」の舛添要一等々、組織も人材も碌なモノではなかった。
仮に小池新党が作られても、一時的ブームにはなっても、その勢いが持続するはずがない。
何故ならそこに集まっているのは、次の選挙目当ての若輩政治家ばかりで、国政はおろか都政すら担うに値しない付和雷同の連中に過ぎないからだ。
東京都の戦いは、次の選挙で全てが決まるわけではない。
正々堂々と、小池百合子の問題点を指摘し続けて欲しいと、そう願っている。