昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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足は動くから出場しました !

稀勢の里の優勝がうれしくて、10時からのNHKスポーツニュースまで見た。
この番組では、優勝力士へのインタビューが恒例になっているからだ。
稀勢の里は、女性アナウンサーの質問には、口癖の「マァ~」から答え始める。
口下手ぶりすら、稀勢の里の素晴らしい人間性と思ってしまうのは、感情移入が大きかった所為だ。
中でも「何故休場しなかったのか?」に対して、「腕は動かないが、足が動いたから」と回答したのに驚いた。
そう言われて千秋楽の対照ノ富士戦の録画を見直すと、成程、横綱稀勢の里の凄さが伝わってきた。
 
本割の相撲、稀勢の里は如何にも不器用に左に変わって、照ノ富士の突進をかわしている。
その後の稀勢の里は、照ノ富士の攻勢を下がりながらいなして、突き落としで勝った。
確かに、動いている足捌きだけで照ノ富士の前への圧力を吸収し、且つ利用したことが分かる。
決定戦の方は、もっと分かりやすい。
立ち合いでもろ差しになった照ノ富士は、ここが勝負と一気に寄り立てる。
素人の僕は、この時点で稀勢の里は寄り切られると、瞬間的に諦めてしまった。
ところがここから、稀勢の里の驚異の頑張りが発揮される。
何と稀勢の里は、怪我をしていない右腕を使って、小手に振った。
この時も、稀勢の里はフットワークで、照ノ富士の攻勢をかわしている。
更に言えば、むしろ照ノ富士の突進を利用して、勝負師として一回限りの勝負手を放ったことが分かる。
逆から見れば、照ノ富士が腰を据えてジックリ攻めれば、稀勢の里には万が一にも勝ち目はなかった。
稀勢の里は、奇跡に次ぐ奇跡で、連続優勝を成し遂げたことになる。
 
後日明らかになったが、実は照ノ富士もまた13日の対鶴竜戦で古傷の左膝を悪化させていたらしい。
照ノ富士は「目に見える辛さと見えない辛さがある。それを表に出すかどうか」と悔しがったらしい。
稀勢の里の怪我は、日本人全部が痛みを「忖度」したが、自分は古傷の痛みを隠して土俵に上がった。
だから14日目の琴奨菊戦では立合いに変化したし、千秋楽の稀勢の里戦の二番でも、勝負を急いだ。
と、そう言いたいようだ。
 
それなら最後の最後まで黙っていればいいし、千秋楽に優勝を決めて、「実は」と明らかにすればカッコ良かった。
負けた後に明かすのは、言い訳がましくて、決して潔い態度ではない。
そもそも照ノ富士は、立合いが汚すぎる。
なかなか相手に合わせようとしないし、チョン立ちの常習犯だ。
勝負に勝った後にも、不必要にダメを押したり、相手を睨みつけたりと、品格面で問題がある。
 
僕は、照ノ富士が昇り龍の勢いで大関になった時には、直ぐに横綱にと応援していた。
しかし怪我で低迷後の照ノ富士には、大いに失望している。
今場所は名誉回復、汚名返上のチャンスだったと思うが、「足が動くから出場した」稀勢の里に比べ、強引な取り口だけでなく、醸し出す風格まで、まだまだ横綱の域には遠い。
 
改めて、稀勢の里、万歳!