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天皇家への不敬罪は必要

令和新時代は、浩宮徳仁親王を新天皇陛下として、実にスムーズにスタートした。

何年間続くのかは分からないが、令和時代が平和で豊かな社会を実現することを願ってやまない。

 

タイでタクシーに乗る時、現地の日本人から厳しく注意されたことがある。

それは、タイ皇室については絶対に悪口を言わないことだ。

タイには今でも不敬罪があり、皇室の悪口を言っただけで逮捕されるらしい。

「運転手に日本語は分からないだろう」と言っても、「連中は話のニュアンスだけで判断するし、いったん警察に連行されると厄介だ」と説得された。

 

一方、タイ皇室と親しい日本の天皇家だが、日本では不敬罪などはとっくの昔に消滅している。

逆に、何を言っても罪にならないので、真偽のほどなどお構いなく、天皇家についての面白おかしいような言い回しの情報が溢れかえっている。

 

少々前になるが、ある顧客と会食した時、先方が「天皇家の秘密」を話し始めた。

何でも、地元選出有名代議士の「秘書」が情報源らしい。

それは当時の天皇陛下の浮気話で、その結果、子供の母親は一人一人違うと力説していた。

この手の話を、自慢気に知ったふりして披露する輩は結構多い。

情報源が代議士の秘書と言うのがミソで、自分だけが知っている秘密情報のようなイメージを膨らませる。

しかし、真偽のほどは全く分からない。

ネットを見ると、新皇后陛下や、その実家を揶揄するような情報も多い。

こちらもまた、不敬罪がないのをいいことに、言いたい放題の世界だ。

 

僕はもちろん、この手の話については、野次馬と同様程度の知識しかない。

ただ一点、これは問題と思った情報があった。

当時、皇太子と雅子妃へのバッシングがひどかった時期で、皇太子が「雅子の人格を否定する動きがあった」とコメントし、ちょっとした騒ぎになった。

その頃のある月刊誌に、「皇太子殿下は秋篠宮殿下に皇位継承を譲るべきだ」との論文が掲載された。

中身は、

・皇太子は天皇とは疎遠で、皇居を訪れるのは秋篠宮殿下だけ

天皇ご夫婦は、皇太子よりも秋篠宮殿下を信頼している

皇后陛下は、雅子妃よりも紀子妃への信頼が厚い。

・何より、悠仁親王が次の天皇となれば、秋篠宮は実子が天皇になっても自らが天皇になれない最初の例になる

よって、次の天皇陛下秋篠宮殿下がふさわしいとの主張だった。

 

こんなのは、宮内庁経由の情報だろうが、その役人も特定されないので、事実確認のしようがない。

だが、先の「秘書から聞いた」同様に、あたかも自分だけは知っているかのような書き方なのだが、天皇家の内情など、本当のことが分かるはずがない。

 

案の定、今回の生前譲位について、上皇は全く躊躇なく、当たり前に浩宮徳仁親王を後継天皇に指名した。

雅子妃について、表立って上皇妃が不満を表すこともなかった。

要は、先の論文は出鱈目だったのだ。

憶測だけで、皇室の権威や伝統を損なうような論理が、あたかも正義のように思い込むことのリスクが如実に表れた例で、外野席の人間は絶対に慎むべきだ。

 

言論の自由の旗の下、天皇家に対して、どんな情報をデタラメ情報を垂れ流しても、一切罪に問われることはない。

全く先細りになっているらしいが、「反天皇制運動連絡会(反天連)」と言う組織も存在し、活動している。

個人的に天皇陛下が嫌いでも、それをとやかく言うべきではないだろう。

 

天皇の存在は、憲法で厳然と、日本国の象徴と位置付けられている。

僕は象徴天皇を守るためには、天皇家への不敬罪は必要と思っている。