五泊六日のリスボン滞在の次は、スペインのセビーリャへ。
午前7時にタクシーを手配していたが、土曜日で道路がすいていたので、空港まで15分もかからない、
利用するイベリア航空は、スペインでは一番の大手だが、ポルトガルでは外様扱いで、カウンターが全部で三つしかない。
職員が到着したのが、午前8時前。
順調に搭乗手続きまで終わり、さぁスペインに向かって出発、のはずが、飛行機がびくとも動かない。
機長のアナウンスでは、どうやら大幅に遅延の様子だったが、結局は50分遅れでやっと飛び立った。
スペイン、マドリッド到着後は、今度はバッケージクレームの場所が分からない。
同じ境遇の日本人旅行者夫婦と、あれこれ探して、やっとかなり離れた場所で荷物を引き取ることができた。
またイベリア航空は、JALと提携しているおかげで、我々夫婦の荷物は優先券がついている。
しかし実際には、そんなチケットは有名無実で、全くランダムに飛び出てくるのには呆れた。
この空港から市内へはRENFEを利用したが、チケットの買い方が分からない。
あれこれ聞きまわって、やっとチケット売り場を探し当てたが、アトーチャ駅からセビーリャ行きのチケットはソールドアウトと言う。
午後1時前の段階で、確保できるのは5時の、しかもファーストクラスらしい。
仕方がないのでそれを購入し、後は4時間をどう過ごすかが悩みとなった。
ところが、チャマルティン駅でアトーチャ行きに乗り換えるのだが、この便が全く動かない。
最初は2時15分出発の表示があったし、乗客も次々と乗り込んできたが、待てど暮らせど、将に微動だにしない。
乗客の大半は、それでも全くおとなしいもので、文句ひとつ言わず、黙って出発を待っている。
しかしこちらは、セッカチ度は日本人の中でも上位に入る人間なので、周りの人に「どうした、どうした?」と質問攻めするが、異口同音に「分からない」と返される。
ここも、約一時間遅れでやっと出発したが、その間、社内放送など一度たりともない。
それでも文句を言わないのが、スペイン気質なのだろう。
早朝の朝食以降、何も食べていなかったので、腹が減って仕方がない。
アトーチャ駅で、まるでうまくないピザを食べ、その後はRENFEラウンジで過ごして、17時出発。
空港でチケットを買った時は、時間が余り過ぎと不満があったが、その後のスペイン時間を目の当たりにすると、この程度の時間的余裕がないと、逆に不安になる。
スペインはそんな国だ。
日本で言えば新幹線のRENFEで、その終点がセビーリャだった。
しかし日本と決定的に違うのは、近所迷惑などの発想は皆無で、車中で辺り構わず大声で電話している人間が多いことだ。
午後7時38分に駅に到着し、ホテルまではタクシーを利用。
わずか10ユーロ弱で到着したホテルは、古いだけに建付けが悪い。
部屋まで曲がりくねって、階段まである廊下を伝って、辿り着いた部屋は、鍵を差し込んでもなかなか開かない。
部屋には、バスローブもスリッパもない。
トイレの水はチョロチョロしか出ないし、何より腹が立つのは、横の道路を歩くスペイン人どもが、深夜3時過ぎまで大声で騒ぐことだ。
マァ、値段も高くないので贅沢は言えないが、他人には絶対にお勧めできない。
夕食は、ホテル傍のスペイン酒場で、パエリアを食べる。
ついでに取った、ミックスサラダが美味かった。
食べ終わって店を出ると、五人組が歌っていて、観光客からチップを貰っていた。
嗜好を凝らした大道芸人が多いのも、スペインの特徴だ。
リスボンのホテルに比べ、唯一素晴しいのはバスタブが付いていること。
やはり日本人は、風呂に浸かって「あぁ天国」気分にならないと、一日が終わらない。