僕は、テレビの連続ドラマは、総集編以外は見ない。
次の放送まで、展開を待つのが嫌だからだ。
しかし、NHK朝ドラ「なつぞら」だけは、その直前の天気予報を見たついでに、そのままテレビをつけているので、見る気もなく見ることが多い。
妻は結構熱心なファンのようで、粗筋も知らない僕に、都度見どころを教えてくれる。
その妻によると、「なつぞら」は舞台が北海道時代は楽しみだったが、主人公、なつが東京に進出して以降は全く面白くないらしい。
そしてその大きな原因に、なつのおじいさん役、草刈正雄の出演場面が激減したことがあると力説していた。
何でも、この番組における草刈正雄の存在感が抜群で、彼の出番が少なくなって以降は、番組への興味が半減したと言うのだ。
しかもそれは妻だけの感想ではなく、東京編の視聴率は大幅にダウンしているらしい。
そう言われると最近は、草刈正雄を始めとして、北海道時代に活躍していた人物が、取ってつけたように東京を訪問したり、無理やり舞台を北海道に移動させたりしている。
不振に陥った番組へのテコ入れだろうが、ストーリーの前後の辻褄を合わせないといけない、番組制作者の苦労がしのばれる。
そんな中で僕もまた、「真田丸」の真田昌幸役以降、役者として評判が上がっている草刈正雄に注目している。
それは、草刈正雄の娘が最近離婚したとか、演技力が素晴らしいなどの一般的なものではなく、マニアックなズラ疑惑についてだ。
しかし、草刈正雄のズラなんて初心者でも一発で分かるレベルなので、僕のような「ズラを見破る天才」にとっては、今更、「草刈正雄はズラだ」なんて、アホらしくてコメントする気にもならない。
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そんな高度な技術に裏付けらた「ズラ評論家」の僕の興味を引いたのは、番組の進行とともに、草刈正雄の髪が変化していることだ。
実はソッと、目立たないように、髪の中に白いモノ、即ち白髪を増やしている。
主人公役のなつやその亭主は、いつまで経っても年寄りの雰囲気がゼロのままだ。
その分を、草刈じいさんの髪を白髪化させることで少しでも補おうとする、番組制作者の苦労がここにも表れている。
しかしその苦労は、ズラを染めているのか、あるいは、白髪を増やしたズラを別途用意しているのかが、大変気になっている。
それを考えるだけで、春日三球、照代並みに、夜も眠れなくなる。
草刈正雄の場合、地毛を染めていることはあり得ない。
すると、衣装さんは、草刈正雄からズラを預かって染めるのか、あるいは改めて白髪交じりに染め上げたズラを手渡すのか。
いずれの場合でも、それを受け取る草刈正雄は、どんな表情をしているのだろうか。
直接本人ではなく、最初はマネージャーが受け取って、草刈正雄はおもむろに自分の控室でそれを被ってスタンバイするのだろうか。
NHKの衣装さんは、小道具のズラについては「絶対口外しない」との誓約書を提出しているのだろうか。
「王様の耳はロバの耳」だと知った理髪師は、葦に向かって叫んで欲求不満を解消したと言われるが、衣装さんはどうしているのだろう。
諸々の興味が尽きない。
ついでながら、どうせ役柄でズラを着用するのなら、最初をもっと髪量の少ないものにすれば良かったのにと思う。
普通に考えると、男性は年齢と共に髪量は少なくなる。
しかし、なつぞらの草刈正雄は、不自然なほどの髪量なので、いくら白髪を増やしても年寄感が出てこない。
最終盤になると、物語を盛り上げるために、草刈正雄が演じるおじいさんが死に、なつや全家族が嘆き悲しむシーンが放送されるはずだ。
その時に、老耄しているのではなく、髪フサフサでヒゲは真っ黒の生気溢れるおじいさんでは、視聴者の悲しみへの一体化は薄れると思う。
マァ、余計なお世話で、全くどうでもいい話だが。