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ラグビーの清々しさ

ラグビーW杯は、日本が大活躍でプール戦トップ、悲願の決勝リーグ進出が決まった。

W杯が始まる前は、野球やサッカーに比べれば、日本のラグビーファンは決して多くはなかった。

しかし今や、「猫も杓子も」に近いほど、巷にラグビーファンが溢れている。

この10月から、「プロの俄かラグビーファン」を自称する僕も、うれしい限りだ。

 

実はプール戦では、日本はスコットランドと神経戦を重ねてきていた。

そもそも前回のW杯は、日本は南アに勝ちながらも、このスコットランドに大敗し、プール戦3勝1敗ながら敗退してしまった。

日本から見れば、そのリベンジ戦の意味合いもある。

 

その対スコットランド戦が、プール戦の第四戦目に組まれた。

そして当初から、この一戦が両国にとって天下分け目の戦いになることは、容易に想像されていた。

大会前の予想では、予選A組を客観的に見ると、アイルランドの実力が一頭抜けていて、次はスコットランド、少し離された三番手が日本だった。

その日本は、開幕戦でロシアと戦い、全ての予選の最終戦スコットランドと戦う。

即ち日本は、W杯の最初と最後の試合に登場するのだから、二戦目、三戦目との間隔は他チームに比べれば空いてくる。

実際に第四戦では、スコットランドの中三日に比べ、日本には一週間の余裕があった。

その分、選手の体力回復には、有利な日程なのだ。

先ずスコットランドは、この点に「日程が日本に有利」とクレームをつけている。

 

続いて、日本にとって三戦目の、対サモア戦。

最後の最後、ロスタイムのスクラムで、サモアが反則を犯し、ボールが日本に移ったことに、スコットランドがイチャモンをつけた。

「明らかに審判のミスジャッジで、W杯で起きたことが信じられない」と言うのだ。

実際にこの後、84分過ぎに松下幸太朗が4トライ目を決めて、日本がボーナス点を獲得したのだから、日本、スコットランドの両方にとっても大きな出来事ではあった。

しかしラグビーで、監督が審判を公然と批判するのは珍しい。

そもそもこの場面では、サモアがボールを蹴り出せば、試合は終了していた。

それをサモアは、全く勝ちの可能性がないにも拘わらず、最後に意地のトライを狙ってスクラムを選んだことが発端なのだ。

審判は、ラストのワンプレイが途切れて試合が終了するまで、ごく普通に試合を管理したに過ぎない。

それにクレームをつけるとは、スコットランドの監督は、冷静さを欠いている。

 

止めは、台風19号の影響についてだ。

この台風の被害が甚大で、土曜日開催予定だった二試合が中止になった。

この結果、イタリアはニュージーランドと戦うことなくプール戦敗退が決まり、大会運営委に対して大文句を垂れた。

また、日曜日開催予定だった日本対スコットランド戦は、当日午前中に開催か否かを決定することになった。

そこでスコットランドラグビー協会長は、圧力をかける積りだったのだろうが、とんでもない発言をしている。

「たとえ原っぱでも、絶対にやるべき」までは許容範囲だが、「試合中止なら告訴する」とまで息巻いたと言う。

 

僕は当初、この報道はフェイクニュースと思った。

何故なら、大会規定でプール戦では会場変更ができないことが決まっているからだ。

もちろんスコットランドも、この大会規定を了承の上で参加しているのだから、いくら頭に血が上ったとは言え、言ってはいけない台詞なのだ。

あたかも日本は不戦勝狙いのような発言に対しては、当然日本のジェイミー・ジョセフ監督は反批判する。

 

そんなこんながあって、いよいよ予選最終戦が横浜で開催されたものだ。

結果は日本の辛勝。

強豪スコットランドに、わずか1トライ差まで迫られ、冷や汗の出る勝利だった。

戦前から、散々揉めていた日本対スコットランド戦は、こんな結末だった。

 

驚くべきはここからだ。

試合が終わった後の日本とスコットランド両国の選手には、全く戦前に拘りがあったなどとは思えない、将にノーサイド精神でお互いを称えあっていた。

インタビューでは、スコットランド監督も主将も、日本の戦い方を褒めまくるし、日本もまたスコットランドへの敬意を忘れない。

更にはTwitterに、新横浜駅から乗り込んできたスコットランドと日本のファン同士が、「ニホンおめでとう、いい試合だった」と肩をたたき合う記事が投稿されていた。

選手、関係者だけでなく、ファンまでがラグビーのノーザイド精神を理解している。

ラグビーの関係者全員が、実に紳士的だ。

 

ラグビー精神は、実に日本人の心情に近い。

これじゃ、日本でラグビーの人気が出るはずだ。

サァ、次は決勝リーグの南ア戦。

今までにも増して、日本を応援しなければならない。