株主総会と言えば長らく、シャンシャン大会が大半だったが、ある時期からそれへのアンチテーゼで、世界的に「モノ言う株主」が注目された。
日本では、村上ファンドの村上世彰が、そんな風潮の中心人物だった。
尤も村上は、株取引のインサイダー取引疑惑で逮捕されてしまった。
この時、株取引の専門家のはずの村上は「何故か、聞いちゃったんですよ」と言い訳して、更に信用を失墜した。
当方、仕事の現役時代は、どこでインサイダー取引を疑われるかもしれないと不安に思い、株には一切手を出さなかった。
しかしリタイアすると、やることがなくなる。
加えて、銀行に定期預金していても、年間の金利は千円にも満たない。
ならばと、暇に任せて株取引を始めた。
2016年のことだ。
そして、自慢じゃないが、その取引の全部で黒字計上してきた。
と言うと、「凄いヂャないか」と声がかかるかもしれないが、秘訣は簡単!
購買対象会社をごく少数に絞り込み、継続的に株価を観察し、自分の基準以下に株価が下がれば買うし、上がれば売ることを繰り返しているだけだ。
決して一攫千金は狙わず、売って利益が出ると、その株がもう一度購入時の価格に戻るまでは「資金を休ませ」て、株取引に手を出さない。
その結果、大した金額ではないが、ちょっとした小遣い程度は稼ぎ出したので、嫁からは「株取引の達人」などと過分なる褒め言葉を貰っている。
ところがここに来て、そんな赫々たる株取引の実績に、泥を塗るような会社が現れた。
株取引で初めて、含み資産評価で大赤字となっているのだ。
それが、日産自動車だ。
実は、株を始めた年にもこの会社の株を買って、ソコソコの利益と配当金をせしめた。
ところが、小人閑居して不全をなす!
その後もこの会社は相変わらず配当は良いので、それではと、魔が差したように「二匹目のドジョウ」を狙ったのが2018年9月だ。
当初は配当もあり、株価も上がりと、順風満帆だった。
だが株購入後一か月で、強欲爺ィ、カルロス・ゴーンが逮捕されたのが悪夢の始まり。
その後、後継者でゴーン追放の立役者、西川廣人もまた、不正手段で給料の上増しがバレ、武漢肺炎の影響をモロに受けるなど、坂道を転がるように業績が悪化していった。
結果として、この3月期の日産の決算は、6千億円以上の大赤字た、
株価は購入時の半分以下だし、唯一の取柄だった配当金までゼロになる始末。
踏んだり蹴ったりとは、まさにこのことだ。
株主にとっては、こんなに腹の立つことはない。
そんなところに、日産から株主総会の資料が送られてきた。
見る気もしないような、悲惨な業績が報告されているが、そこには12人の新取締役候補者も紹介されていた、
一人1ページの、にこやかに笑った写真付きで、経歴と担当業務、役員に推薦する理由が書かれているが、こちらもまた読む気にならない。
そんなのどうでもいいから、業績回復の処方箋とスケジュールを明示して、株価を戻すと同時に配当しろ!と心中で毒づく。
今のままの日産では、明日はない。
今の 我が日産株は、ドブに捨てたも同然のようなクズ株でしかない。
今迄の株主総会では、招集を受けても、勿論参加したこともなければ、賛否の意思表示の葉書すら返送したことがない。
典型的な会社任せ株主から、雄々しく脱却しなければならない。
そんな危機感と使命感から、ついに当方も「モノ言う株主」になることを決意し、初めて、日産からの議案の全てに「否」をつけた。
日産はきっと、重要株主からの思いもかけない反対投票に焦るだろう。
新役員候補も承認されずに、途方に暮れるかもしれない。
しかし、そんな厳しい洗礼を受けたことを自戒の念として、日産立て直しに邁進してくれれば、「愛の鞭」を振るった側としては本望だ。
日産自動車よ、どうでもいいから株価を上げて、配当を再開しろ!
少なくとも、購入した時に株価まで戻せ!
身勝手な、俄か「モノ言う株主」は、それだけを願っている。