ひょっとして、タマキンを本名と思っている方が、いるかもしれない。
タマキンの響きから、ロシア人と間違えている方もいるかも知れない。
しかし念のために申し添えるが、タマキンはあくまで愛称なので誤解なきよう。
タマキン君とは、本名を玉木雄一郎と称する、列記とした日本国の国会議員だ。
香川県で、大平正芳の地盤を引き継ぎながら、自民党の空きがなく民主党から出馬。
当初は敗れたが、2009年の政権交代ブームで自民党議員を破って以来選挙に強い。
タマキン君が全国区で名を売ったのは、2016年民進党代表選に出馬した時だ。
熱血漢で感激性のタマキン君は、演説途中で感極まり、隣にいた蓮舫大先生に「タマキン君泣くな!」と叱咤激励されていた。
(蓮舫大先生は、「タマキン」ではなく「玉木君泣くな!」と言ったとの説もあるが)
代表にはなれなかったが、タマキン君は野党の中で、それなりの存在感を示し始めた。
そして、結果的に民進党を分裂させた、小池百合子の希望の党「排除の論理」では、排除されない側に回り、小池百合子の後釜として希望の党代表になる。
その後、民進党や希望の党の残党を集めて設立された「国民民主党」の代表となり、今日に至っている。
要するに、政治家として「日の当たる場所を歩いてきた」訳ではないが、さりとて日陰の身でもなかったオトコだ。
そんなタマキン君、もとい、玉木君が一躍時の人になった。
玉木君所属の国民民主党と、カビバラ、もとい、枝野君の立憲民主党との合流話で、自らは参加せず、新生国民民主党に残ると宣言したからだ。
玉木君は、重要政策の合意を棚上げしたまま、野党が数合わせで合流しても、国民の理解は得られないと、誠にまっとうな主張をした。
しかし国民民主党の衆議院議員は、比例復活のゾンビ議員が大半なので、次の選挙を考えれば、図体がデカい方が当選確率が上がると勝手に考え、合流したくて堪らない。
一方の枝野君は、喉から手が出るほど、玉木君が貯め込んでいた政党助成金が欲しい。
結局は8月19日の党大会で、筋を通したい国民民主党議員は残留し、選挙目当ての連中は立憲に合流することでシャンシャンとなった。
しかし、問題はこれからだ。
枝野君は、国民民主党からどの議員が移ってくるかなど、全く興味がない。
彼らの持参金がいくらか、だけが関心事なのだ。
合流する連中にとっても、持参金がタンマリなければ、合流後の扱いで厳しい選挙区を割り当てられ、落選したら雑巾がけからやり直しになる。
そこで、「合流派が圧倒的多数なのだから、政党助成金は全て頂き」と主張している。
一方の玉木君は、「普通に考えれば、頭割りね」と、こちらは実に穏当で常識的だ。
しかしその場合、枝野君の「捕らぬ狸の皮算用」に狂いが生じる可能性がある。
上から目線で、合流派を救ってやる意識の枝野君としては、彼らの忠誠心を図るためにも、合流派に対して、「必ず全額持参すること」と秘密指令を出すだろう。
しかしここでも、玉木君は見事な筋論を発している。
「カネを巡って内ゲバをするなら、全額国庫に返した方が良い」
枝野君の魂胆と、合流派の醜い思惑を逆手に取り、自らの好感度アップを図る作戦だ。
合流派の中には、政党設立と解散を繰り返す度に政党助成金を政治団体に寄付し、私物化と紙一重の詐欺紛いビジネスを繰り消してきた、イッチロー君こと小沢一郎がいる。
選挙目当ての合流派、金目当ての枝野君たちが、総勢140名程度の大所帯政党になっても、胡散臭さが漂えば、新生「立憲民主党」は、国民の理解と支持を得られない。
その点玉木君の方は、残るのは少数派なので、選挙資金もソコソコあれば足りるし、今回は同情票も期待できる。
助成金国庫返還は、一石二鳥、いや三鳥にも匹敵する、何とも清々しい嫌がらせだ。
今回の合流と分党騒ぎでは、どう考えても、玉木君側の「技あり」だし、政党助成金の扱い方次第で「併せて一本!」となり、勝負がつく。
玉木君は合流交渉で、不遜極まりない枝野君や、チェンこと福山哲郎君に見下され、煮え湯を飲まされ続け、屈辱の思いだった。
しかし今回、一矢どころか千矢ほどの大ダメージを、報いることができる。
玉木君とそのご一統様は、出鱈目で下手糞な抵抗野党ではなく、堂々とした提案型「改革中道」の道を歩んで欲しい。
そんな期待を込めて、今後は「タマキン君」みたいな冷やかしで呼んだりしません。
今迄の、数々のご無礼をお許しください、タマキ、いや、玉木様!