昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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現役会社員時代のモットー

会社員の現役時代、注意していたことが二つある。

酒を飲んだ日はタクシーで帰宅することと、国内外を問わず、出張時にはLCCを利用しないことだ。

 

酒は好きではない。

むしろ嫌いな方だ。

しかし、東北新社のガースーの息子じゃないが、仕事で顧客を接待することはしょっちゅうある。

その都度、顧客に失礼があってはいけないから、酒の席で酔っ払うことはないが、それでもさして強くもない酒をかなり飲んでしまう。

そんな状態で電車に乗ると、他の乗客とトラブルになりかねない。

酒気を漂わせるので周囲に迷惑をかけるし、こっちも酔っ払って気が大きくなっているので喧嘩になりやすい。

実際に車中で、そんな酔客同士のトラブルを何度も目撃している。

自分がそんな渦中に陥って新聞沙汰になると、結果として会社に大迷惑をかける。

だから酒を飲んだら、少々コストは嵩んでもタクシーで帰宅することを旨とした。

 

出張時のLCCチケットは、価格は安いが変更が効かない。

予め出張のスケジュールは決めているが、商談には相手があることだから、段取りが予定通りに進むことは却って珍しい。

その場合は、その後の予定を変更しなければならない

そのため、何度も変更が可能で、代替便が多いエアラインを利用するべきと確信し、JALかANA便に拘った。

 

実は、この変更不可の格安便やLCC嫌いには理由がある。

マレーシアで開催された、同業者の国際会議に列席したことがある。

国際会議とは言え、当方の役割は、如何にも全部分かっている風を装いながら、ひたすらじっと座っているだけ。

三泊四日でそんな会議に出席していると、退屈で仕方がない。

四日目の午前中でやっと会議が終了したので、喜び勇んでホテルをチェックアウトした。

一緒に参加した同僚たちは全員が、この後タイに移動したので、当方一人でクアラルンプール空港に向かった。

 

その空港窓口でチェックインすると、係員が怪訝な顔をする。

そして次の台詞に、心底吃驚してしまった。

「Mr. This ticket is for the day after tomorrow.」

「ナニィ?」

その場で慌てて、チケット手配してくれた会社の女性に電話する。

「ソンナことありませんよ」と、暢気に電話を取った彼女の次の台詞は「ア~ァッ!」との電話口での絶叫だった。

 

しかもこの時に限って、それまで一度も利用したことのない、格安料金で変更不可能なチケットになっている。

出発前に彼女が「コストダウンを考え、格安を手配しました」と、自慢気に話していたことを思い出した。

確か、彼女に対して「今回は予め日程が決まった会議だからいいけど、次から格安はやめるように」と注意していたのだ。

とは言うものの、既にホテルはチェックアウトしているし、何よりも明後日までマレーシアに留まってもすることがない。

これは、絶望的だ!

 

すっかり困り果てたが、そこで諦めては活路が開けない。

生来の厚かましさを発揮し、無理を承知で係員に食い下がってみた。

するとよほど機嫌が良かったのか、あるいは困り果てているオトコに同情してくれたのか、その係員は苦笑を浮かべながら日時変更をしてくれた。

反日の韓国や中国なら意地悪をされただろうが、さすが何事にも大らかで親日的なマレーシア人だ。

将に九死に一生を得た経験があるので、それ以降は海外でのLCCは利用しないことにしている。

ミスを仕出かした件の女性も、何がどうなったのかは分からないものの、とにかく搭乗したことを確認して体の力が抜けるほど安堵したらしい。

 

ただ、観光地によってはLCCしか飛んでいない場所もある。

先だって訪問したカンボジアシェムリアップ空港がそれで、シンガポールに移動する手段はLCCしかない。

こんな場合はやむを得ないので、前後のスケジュールに余裕を持たせることで危険を少なくする。

 

いずれにしても、安いモノにはリスクが伴うし、不動産と盆栽とビジネスには掘り出し物はない。

仕事の場合は、安モノは避ける方が賢明だ。