昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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朝井閑右衛門の名画

朝井閑右衛門は有名な画家だが、ご存じだろうか?

バラの絵が得意で「薔薇の朝井」とか「薔薇の画家」とか言われる。


 大阪生まれ洋画家、本名は浅井実

 独学で油絵を研究し、戦前は官展・光風会展に活躍

 昭和11年文展で、五百号の大作「丘の上」が文部大臣賞受賞

 戦後、井手宣通・須田剋太と新樹会、鳥海青児と国際形象展を組織

 油彩を塗り重ね、色彩豊かな独創的作風を展開

 常に画壇第一線で活躍するが、画集も個展もない特異な野人画家

 昭和58年(1983)歿、82才

 

その朝井閑右衛門の、薔薇の花を描いた作品が2017年の「何でも鑑定団」に出品され、350万円と鑑定された。

この時テレビを見ていた僕は、思わず「ウワァ!」と声を上げた。

その朝井閑右衛門の作品が一点、我が家にあるからだ。

しかも、まるでカレンダーのような無造作な状態で、僕の部屋の壁にある。

油絵4号、タイトルが「薔薇と百合」で、朝井が得意とした薔薇だけではなく百合の花まで描かれ、希少価値が上がっている。

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名画(のはずの)「薔薇と百合」

そんなに貴重な代物が、なぜにそこらのガラクタのように、我が家の壁を飾っているのか?

それは七年ほど前に、ヤフオクで落札したからだ。

オークション出品業者によると「地方素封家の先代が、百貨店との付き合いで購入したものを引き取った」らしい。

鑑定すれば数百万は固い(と思われる)朝井の作品だが、オークション落札額は2万円弱。

 

そんじょ其らでは入手出来ない傑物で、落札できたのは超ラッキー。

出元は固いし、絵のタッチはまさしく朝井閑右衛門を彷彿とさせる。(詳しくは知らんけど)

これほど「イイ仕事」の掘り出し物は、そうはお目に掛かれない。

他人に見せたり自慢すると盗難の恐れがあるので、このブログが本邦初公開となる。

 

ただ、些かではあるが、心配な部分が三点ある。

第一点は、出品業者の説明に「本物保証」が書いてないことだ。

これは出品業者が書き忘れたのか、あるいは貧乏で真面目な朝井ファンへの気配りで、オークションの過熱を恐れたのかもしれない。

第二点は、絵の左下に書かれた英語の落款が、どう見ても「閑右衛門」と読めないことだ。

これはきっと、原稿の字が無茶苦茶に下手だったと言われている朝井が、アルファベットを間違えたに違いない。

 

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A. Kanemonでもないし、Can emonでもない

出品業者によると、

時代・作家名・状態・材質等は主観に基づいて確定するものではありません。

また全ての商品鑑定を受けたわけではございません。

入札者の見識により自己責任のもと、ご自身の納得のいく値段でご入札ください。

本物保証と記された商品以外は前述した通り、タイトル説明文と異なる場合もあり得る点再度お伝えします。

と、丁寧口調ながらも「ひょっとしたら本物とは違うかもしれないけど、その時はごめんね」と釈明しているようにも見える。

しかしこれは、極めて一般論に過ぎず、出品業者は、我が家の作品を特定して説明したわけではない。

むしろ正直業者からの購入と思えば、更に本物との期待感が高まる。

 

三番目の疑惑は、一時期流行ったオークション詐欺と、似通った取引経緯があった点だ。

超安値でスタートした商品だが、オークション終了直前に入札が殺到し、妙な対抗意識から価格がドンドン上がり続ける。

僕は2万円までしか出す気がなかったので、一旦は他人が落札したはずなのに、翌日になったら落札案内が来ていた。

出品業者は「落札者が信用できず取引をやめた」と説明したが、何とも胡散臭い。

しかし当時、百合の絵を探していたので、ママヨと買うことにした。

 

これら一連の流れを見て、どう贔屓目で観ても、偽物に違いないととらえる人もいるかもしれない。

因みにこの業者は今でも健在で、広島県で「不用品の買い取り・販売」事業を続けている。

「不用品」の表現には若干引っかかる部分があるが、詐欺まがいの悪徳業者ではない(と信じたい)。

 

何せ本物でありさえすれば、数百万円は下らない代物だ。

嫁は「350万円もする画家の作品が、2万円以下で買えるはずはない」と、端から本物説に否定的だ。

しかし世界中の美術館を訪問し、嫌というほど世界的大画家の作品を見てきたオトコの眼力は、朝井閑右衛門の作品だと見抜いている。

そんな大作を持っていながら、誰にも自慢できない。

宝の持ち腐れとは、まさにこのことだ。