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敢えてフセインの死刑執行に反対する!

イラクの元大統領サダム・フセインの死刑判決が確定したのが数日前の26日。
年内にも実施される可能性があると言われていたが、何と昨日執行されてしまった。

フセインは反米独裁指導者としてアメリカから蛇蝎のように嫌われ、2003年には「大量破壊兵器を所有しているから危険」との言い掛かりで突然攻め込まれた。
アメリカの最新兵器の前に、抵抗もむなしく逮捕されたのだが、後になって大量破壊兵器など最初からなかったことが判明。イラクがその後泥沼の内戦状態になったことから、アメリカが仕掛けたイラク戦争自体の正当性が疑問視されている。

フセインは、今回のイラク戦争ブッシュ大統領、1991年湾岸戦争ではその父親と戦いいずれも敗北したが、ブッシュ親子はアメリカ石油利権を代表しているとの見方も強く、今回の裁判の「人道に対する罪」に対しても素直に信じることは出来ない。
米国の影響下で行われた裁判の正当性には疑問がつきまとっている。旧フセイン政権を支えたイスラムスンニ派の反発は必至だ。
シーア派のマリキ政権や米国は、死刑執行で治安情勢が安定することを期待しているが、泥沼化しているイスラム教宗派対立、キリスト教イスラム教、南北問題、石油利権と、あらゆる面からイラク問題の解決は更に困難になる恐れがある。
確かにフセインは、国内でクルド人や政敵を弾圧したり虐殺した悪逆非道の政治家と見られているが、イラク戦争が始まるまではイラク国内では個人崇拝の対象だった。
しかも、フセインは一時期アメリカから支援され政権を奪取したのであり、フセインに人道上の罪があればアメリカにもその責任の一端がある。
フセインも問題があるが、アメリカのやり方も同様に問題だ」と、両者を同じ穴の狢と見る意見も多い。

歴史を紐解けば、発展途上国では、民主主義が定着するまでの一時期に、強烈な個性のカリスマ独裁者が登場し、強引な手法で国を纏め上げ国力を急速に高めるが、時間の経過に従い必ずその国の人たちに否定されている。
そして多くの独裁者は反米思想を標榜する。現に大半の南米では、反米指導者に率いられた発展途上国が増えている。
何故、反米が求心力になるのか?
アメリカ的民主主義は、発展途上国からはアメリカの都合の押し付けとおせっかいにしか見えないので、国をまとめる為には、「あんな堕落した文化をわが国に持ち込んではいけない、アメリカは敵だ!」との主張は結構効果的なのだ。

フセインを裁くことが出来るのは、アメリカやイギリスが完全撤退した後のイラク人だけだ。
アメリカ的イラク人指導者ではない。