昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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底なし、赤福の偽装問題

老舗和菓子メーカー赤福の偽装問題が底なし沼の様相を呈してきた。
これまでの製造日の偽造だけでなく、今年1月まで99%は焼却処分したと説明した売れ残り商品のもちの68%を再利用していた事も判明した。
消費期限が切れていたあんや餅の再利用、原料に表示していない加工品を使っていたことも明らかになり、長年にわたる会社ぐるみでの組織的不正の実態が明らかになってきている。
と、一方的に赤福は悪者になっている。
しかし、コンプライアンス内部告発の奨励はごくごく最近の傾向であり、数年前までなら大半のメーカーが同じような発想で会社を運営していたはずだ。
現に、赤福以外でも多くの業界での偽装工作が露呈している。

販売価格がいくらだったのかは知らないが、もしも赤福が一連の「不正」をやっていなかったとしたら、間違いなく製造コストが上がり製品価格への転嫁が必須となる。
コストダウンはメーカーにとっては生き残るための必須条件であり、乾いた雑巾を絞る、日々まさしく血のにじむような努力を続けている。
だから、食べ物とはいえ、安全性さえ確保されるのなら基本的に残り物を再利用する考えは悪くはないはずだ。現に赤福で食中毒が起きたとは報道されていない。
リサイクルはあらゆる分野で美徳と考えられている。(僕は若干異論を持っているが)

今回の問題は、赤福が最近の企業責任を問う声の高まりに対して、他人事で危機感が欠けていた事に起因すると思う。
最近の企業不祥事のほとんどが内部告発から露見している事は、勤め人の意識も「会社は運命共同体」から「我が社の不正を許さない」と変わってきている事を表している。
また企業には、必ず待遇面で不満分子が出てくるので、内部告発予備軍には事欠かない。
今後の企業は内部を浄化しないと生き残れない。

赤福が、北海道のミートホープ事件が発生した時点で、「実は我が社も….」と告白し、それまでの経緯と安全性の証明、今後の方針を明示しておけば、今回のような会社存亡の危機まで陥ることはなかった。
「そんな理想論」と言われるかもしれないが、今の世論は、隠すより進んで実態を発表し対策を講じることを要求しており、且つその方が会社にとって将来には必ずプラスに働いている。
要は、経営者の大局観、危機感への感性と決断に掛かっているのである。
組織は、リーダーの器が全てであり、それ以下はあっても以上はない。