中国人は、基本的にすべての荷物を手放したがらない。
よって、常に飛行機に大量の手荷物を持ち込もうとする。
しかし、わが日本人は全く持って不用心だ。
電車の中で手荷物を網棚に置きそのまま寝入ってしまう人が多いが、海外では、所有権を放棄したと思われても仕方がない行為だ。
先般、中国人女性と話す機会があったが、日本に来た時、彼女にとって信じられない事が電車の中で発生したらしい。
彼女の前に一人の女子高校生がいたとの事。
女子高校生は一心不乱に携帯のメールを打っていたが、突然あらゆる荷物を手提げバッグの押し込み、しかもそのバッグを床に置いたままトイレに行ったらしい。
中国人の彼女は、一瞬誰かがバッグを盗むと思ったらしいが、電車の中では誰もが無関心のままで、バッグは元の位置で女子高校生が帰ってくるまで無事だった事を心底驚いていた。
中国では、まさに「盗ってください」と同じ行為だとも言っていた。
日本では、うら若い女性が電車で隣り合わせた見ず知らずの男性に寄りかかって寝ている光景は当たり前だが、これも海外では有り得ない事らしい。
我々は、同じ日本人が自分に危害を加える事をあまり想定していないが、海外はあらゆる人種が集まっているので、隣人を信用しているととんでもない事になってしまう。
日本のタクシーでは不正はまずあり得ないが、僕が利用したイタリアのタクシー運転手は、全員が料金を詐欺した。
つい最近まで自民党の対抗勢力だった日本社会党は、「非武装中立」なる、世界中で驚かれるような防衛方針を打ち出していた。
社会党の主張は、「徒に武装するから却って攻撃される。非武装の国を攻撃する国はない」だった。これはまるで能天気の考え方なのだが、一時的に日本の半分近い国民に支持されていたように、
外国から侵略される事を不安に思っている国民はほとんどいない。
自分自身が他人から危機に晒される事も、国家が他国から侵略される事も、全く想定外なのだ。
電車で居眠りをしてしまう不用心な日本人を見るにつけ、いずれ平和ボケのツケが来るのではと恐ろしくなってしまう。
