昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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核兵器を廃棄する為に

かなり前の記事に、コメントが来た。
2009年に、「誠に皮肉なことだが、核兵器を根絶する為には、核兵器を持って威嚇するしかない」と書いたのだが、これに対して「日本の核武装には反対」の立場からの意見だ。
この人のご両親は被爆者、ご本人は癌に侵されながらも、車椅子で病院を抜け出しながらの訴えなので、なかなか反論し難いものがある。
「貴方達に、被爆者の苦しみがわかるか!」と言われると、確かに核兵器が投下された広島と長崎に無関係だった人間には、その悲惨さはあくまで想像の世界でしかない。
長年に亘って、子々孫々にまで言葉では尽くせない残酷な悪影響を与えてしまう核兵器なんか、勿論ないに越したことはない。
そんなことは子供でも分かるし、現に核兵器所有や使用に賛成する人など、少なくとも日本ではいるはずがない。

しかし僕が言いたいのは、世界にはそれほど残酷な兵器だからこそ是非とも所有して、国際社会で自国の主張を通そうとする国家や不穏分子が多く存在するとの現実なのだ。
国際社会の外交は、家庭の夫婦喧嘩でもなければ、生徒会のディスカッションでもない。
ひたすら自国の利益最大化だけが目標であり、その為には相手国を屈服させる為のあらゆる手段が弄される。
韓国、ロシアが勝手に実効支配している北方領土竹島にしても、本質的に彼らを放逐して領土を奪回するにはどのようは方法があるか。
あるいは日本が実効支配している尖閣列島に、中国軍が侵攻した時にどう守るのか。
解決の術は、実は暴力でしかない。
しかし現実の日本には、暴力に訴える手段も実力もない。
結果としては、日米安保条約によるアメリカの庇護がなければ、一気に他国に支配されてしまう。
そしてこのアメリカの力の背景には、世界で最多数の核兵器所有を含む軍事力があり、それが紛争の抑止力として効果を発揮しているものまた現実だ。

既にイスラエル核兵器所有を噂されているし、インドやパキスタンですら核実験を終えている。
更には、イランのアフマニネジャトや、北朝鮮金正日金正恩親子も、核兵器開発を諦めない。
国内外で様々な問題を抱える国家では、世界中が恐れる核兵器所有こそ、自国の主張を押し通す最も手っ取り早い手段だと確信している。
国民がどんなに飢えていようとも、食糧事情よりも核兵器開発が優先される。
だからいくら核兵器の悲惨さを訴えても、彼らがそれに心を動かされ、核兵器開発を止めることはない。
狂人に刃物、狂った国家に核兵器
現代の仮初めの世界平和は、こんな危険な国家バランスの上で、辛くも成り立っているにすぎない。

唯一の被爆国日本では、「核兵器を使わせない世論を盛り上げる」核兵器反対の訴えが一定の効果があっても、世界的に見れば無力な運動でしかない。
僕は共産党系の原水協がニューヨークでデモをしている場面に遭遇したが、アメリカ人は誰一人、そんな運動に関心を示さなかった。
今、イランや北朝鮮核兵器開発を止めさせるには、核所有国からの圧力以外にはない。
実際に「核兵器開発を止めないと攻撃する」とまで恫喝されているが、それでも彼らはなんだかんだと言い繕いながら、核兵器開発カードを手放さない。

社民党福島瑞穂党首は、「非武装の国を攻撃する国なんかあり得ない」と投稿していた。
社会党非武装中立論の焼き直しだが、竹島は韓国に武力で占拠されたし、尖閣列島は中国の攻勢に晒されている。
非情な国際社会には、非武装だから特別のお目こぼしをしてくれるほどのお人好し国家は、日本を除いて一つとしてない。
隙を見せれば付け込まれる、そんな弱肉強食の世界だ。

僕は、「日本も核武装」などとは思ってもいない。
しかし、国際社会で日本を攻撃してくる敵から我が国を守る手段だけは、しっかりと所有しておかねばならない。
武力を手放すことは、途端に日本の国益を危うくすると思っている。
現実のそれは、好むと好まざるにかかわらず、自衛隊の存在と、日米安保条約によるアメリカの核の傘だ。

自国の防衛を他国に依存し、せっせと経済活動に専念した結果、戦後の日本は奇跡の復興を成し遂げた。
しかしこれで多くの日本人が、願いさえすれば安寧秩序がもたらされるとの幻想を持ってしまい、独立国家としては極めて危険な平和ボケ集団となった。
平和は、戦わないと実現できない。
安全保障も核兵器もそんな視点で見ないと、肝心の日本の国土を守りきれない。