大人気の「ハニカミ王子」石川遼が、わずか16歳4カ月でプロ転向を決意した。
今や、人気低迷に悩む男子プロゴルフ界にとっては、石川遼がツァーの参戦する事は大歓迎だろう。
スポンサーの石川遼争奪戦は激しくなると予想され、経済効果も大きいらしい。
誰からも好感をもたれる石川遼に対しては、今回のプロ転向についても賛成の意見が多い。
しかし、僕はあえて反対意見を述べたい。
理由は三点ある。
まず第一点は、石川遼のゴルファーとしての技術は、現時点では大した事がないとの意見がある事。
男子トーナメントで優勝したほどだから、技術的に未熟であるはずはない。
しかし、識者に言わせると、あの技術と同程度以上の若者はゴマン、と言えばちょっと大げさだがかなりの数が存在するらしい。
彼が優勝できたのは、一万回やっても再現できるか分からない、バンカーからのミラクルバーディが出た事と、大会が都合でトーナメントが一日短縮された事が原因で、本当にプロに交じって勝てるだけの実力はないとも聞いた。
二つ目は、石川遼が大学卒業後のプロ入りでは、ツアー優勝者に与えられる三シーズンのシード権が消滅している事が、今回決断した最大の理由と言われている事。
本当に実力があれば、前回の優勝を当てになどせず、再度実力でシード権を獲得できるはずだし、まだゴルファーとして未熟なら、たとえ現在シード権を持っていても、今後とも維持できるわけではない。
三つ目は、大学に入る事は、世間が拡がり今後の人生にも大いに有意義な事。
プロゴルファーは、年から年中ゴルフに明け暮れるので、なかなか一般常識が身に付きにくい。
「ゴルフはうまいが、あんな性格じゃ駄目だ」と、ギャラリーから顰蹙を買うゴルファーは多い。
しかし、四年間に亘って友人と幅広く付き合う事は、その後の人格形成にも、あるいは本当に困った時の相談相手にも恵まれる事になる。
万一、ゴルファーとして芽が出なかった場合にも、別の世界で潰しがきくかどうかは、様々な経験の有無によるところが多く、その点でも四年間の学生生活は、一見遠回りに見えるかもしれないが、実は「急がば廻れ」でもある。
石川遼は、マスコミに対しての受け応えは極めて丁寧だし、敬語の使い方もしっかりしている。
一見非の打ちどころがない、清々しい若者に見えるが、プロゴルフノトーナメントは基本的に足の引っ張り合いであり、相手の弱みにつけこむ厳しい世界だ。性格の良さは必ずしも武器ではない。
好漢石川遼が、単なる早熟ゴルファーではなく、日本男子ゴルフ界の救世主になってほしいが、一方では、女子ゴルフ界で超大物と騒がれた後、まるで失速してしまったミシェル・ウィーの例もある。
しかし、どうやら既に賽は投げられたらしい。
石川遼には、中高年黄昏族の様々な不安を「余計なお世話」と吹き飛ばし、大活躍してほしいものだ。