昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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再生紙偽装問題の摩訶不思議さ!

先週、日本の名だたる製紙メーカーが次々と謝罪会見を行った。
何でも再生紙の古紙配合率を偽装していたと言うのだ。
摩訶不思議なのは、「表示に対して実際の古紙使用比率が少なかった」と謝っている事だ。
逆ではない。「品質の悪い再生品を余計に使ったので申し訳ない」ではない。
普通に考えれば、メーカーにとって再生原料をたくさん使いたいはずだが、少ししか使わなかった事が不正として糾弾されている。
要は、羊頭狗肉ではなく狗頭羊肉、「再生紙として販売したが、バージン紙をたくさん使っていて御免なさい」と言うのだから、首を傾げたくなる。

ここに「社会の良識」と誤解されている環境行政とエコ製品の矛盾が表れている。

グリーン購入とは、環境に与える負荷が少ない製品を優先して購入しようというものだが、最近の環境意識の高まりの中で、特に官庁などではこのような再生品の購入義務まで発生している。
ところが、実はこのような再生紙や再生原料はちっとも環境に優しくないのだ。
再生である事は、即ち一度使用され各地に散っているので、集める為にエネルギーを要する。
そして、それを再生する為にも大量のエネルギーを要する。
出来上がったものは、最初の製品に比べ品質が劣り、コストが上がる。
しかも、再生原料は海外、特に中国に販売すると結構高く売れるので、再生業者はどんどん輸出してしまう。
国内メーカーは、使用義務を課されているが、再生原料を確保する事は簡単な事ではない。

ただ一つ、再生品を使っているとの自己満足以外、何一つ良いところはないのが実態なのである。
利益を追求するメーカーにとっても、変な正義心以外のメリットが無い為、出来る事なら再生原料など使いたくない。
消費者は、生活の中でたくさんの無駄遣いをしながら、自分は環境問題に関心があるとの態度をとりたいものだから、「再生品使用」と銘打たれた商品を言い訳のように買っている。
しかし、本当の再生品は品質が悪く価格が高いものなので、そのまま出されたら誰も買わなくなってしまう。
そこでメーカーは、已むなく再生原料と称してバージン原料を使ってきたのが実態だ。

今やコンプライアンスの時代なので、セールスポイントと実体が違うと、社長が引責辞任するような事態になってしまうのだが、本音を言えば、「馬鹿馬鹿しくてやってられない」のが実情だ。
再生品を使う事はちっとも環境に優しくない。
今回の一連の事件で、どこか一社だけでも「再生品は、むしろ更に環境を悪化させる」と告発してほしかったが、何と今まで販売していた商品を回収するらしい。
ほとんどの関係者が、既に無駄な努力と分かっているのに、「環境問題」との錦の御旗の下で反論できず、更に多くのエネルギーを投入し、更に環境悪化を進める皮肉が現実だ。
我々は、もうそろそろその矛盾に気がつくべきだろう。