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日経新聞の誤解

現役サラリーマンだから日経新聞は必読紙だ。
よって、我が家の新聞は日経と産経を取っている。
その日経新聞木曜日朝刊の一面に、さほど目立たないが、「新日鉄などの鉄鋼大手メーカーが商社向け手数料圧縮へ」の記事が載った。
僕は商社の人間でもなく鉄鋼関連会社とも無縁なので、この顛末がどうなろうと懐具合には全く影響はない。
しかし、この記事の中に明白な認識ミスがあるのは見過ごせない。
少なくとも、日経はビジネス関連企業からはもっとも信頼されている新聞のはずで、日経に記事が載っただけで、市況に与えるインパクトは格段に大きくなる。
その日経新聞ともあろう所が、ビジネス常識を誤解している記事を掲載するとは大いに驚きだ。

今回の記事は、「一般的に鉄鋼大手は3%の手数料をシハラウ(支払う)が」と書き、最近の鋼材値上げで商社はいわゆる「濡れ手に粟」なので、上昇分は半分前後しかシハラワナイ(支払わない)事を検討中と報じている。
ご丁寧に、「商社業界は反発しているが、一定程度はのまざるを得ない」との観測付きだ。

商社経由の取引に慣れていない人は何気なく見過しがちだが、実は鉄鋼メーカーは商社に対して一銭たりとも口銭を支払ってはいない。
鉄鋼メーカーが口銭を支払うとの表現は、明らかに間違っている。

内口銭システムの場合、商社が懐に入れる金額が鉄鋼メーカーに分かってしまうので、いかにも自分が支払っていると誤解する人が多い。
しかしこのビジネスの仕組みを正確に言えば、顧客が支払った金額を、鉄鋼メーカーと商社がシェアしているのが実態だ。
もしも、メーカーが口銭を支払っているのが事実とすれば、商社がメーカーに集金に来るはずだが、実際のビジネスでは逆に、必ずメーカーが商社に集金に行く。
(もっとも最近は振込みが大半だが、金の流れが商社がメーカーに払う事には変わりない。)
即ち、顧客から集金した売上げの中から先ず商社が自分の分を確保し、残った分を商社からメーカーに支払うものなのだ。
支払っているのは商社の方なのだ。
メーカーが商社に支払う場面は一切ない。

しかし現実には多くのメーカーが、自分達が商社に支払っていると誤解している。
口銭率は、メーカーと商社間の、顧客からの収穫の分捕り合戦の結果で、メーカーと商社の力関係で決まるので、顧客は興味がないし知らされていない。
日経新聞が、本来メーカーと商社の内輪の口銭率を3%と明記したのはフライイングになる。
日経新聞は訂正記事を出した方が良い。