昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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密告が効果的!

やや旧聞に属するが、今年の11月11日、1が四つ並ぶ御目出度い日に、独占禁止法違反容疑で日本でもトップクラスの鉄鋼三社が、建材向け亜鉛めっき鋼板を巡る価格カルテル事件として刑事告発された。
鉄は国家なり、日本を代表する新日鉄の関連会社が絡んでいたため、「公正取引委員会執念の捜査」とも言われたが、内実は四社によるカルテルで、その内一社による、所謂「タレコミ」らしい。

これほど企業のコンプライアンスがうるさく言われているのに、未だに談合による値上げ活動が行われていた事も驚くが、タレこんだ一社とその他の三社との関係がどうなっていくのかにはもっと興味がそそられる。

日本的な美意識から見れば、いかなる理由があれ自分を信じて一緒に悪事を働いた仲間を、こっそりと権力に売り渡し、自分だけは無罪になる行為に賞賛はないだろう。
かといって、タレコミを誰かが先んじれば、今度は自分が刑事告発の対象になってしまう。
公正取引委員会も何とも罪つくりで効果のある制度を作り上げたものだ。

今回告発された中の一社は、仕事の上ではまるで関係がないが、個人的に些か関りがある。
刑事告発されるのは、営業を担当していた責任者になるだろう。
ひょっとしたら、その人とは会った事があるかもしれない。
企業は、「トカゲのしっぽ切り」で、当事者個人に全ての責任を押し付けるに違いない。
その昔だったら「会社の為にやったのだから」と、その後も関係会社等で実質的に面倒を見てくれただろうが、今では処遇が決定した所で会社から馘首されるだけになる。
今の会社の論理では、「会社の為にやったのではなく、法を犯した事で会社を窮地に陥れた」と解釈されてしまう。

そんな事が分からないまま、ひたすら自分の仕事と思い込んで談合を繰り返したサラリーマンを哀れに思う。
一方、タレこんだ会社員は刑事告発される事はない。
しかし、一生他人を陥れる事で自分だけが助かったとの思いが消える事はないだろう。
談合による値上げを目論んだ為に、誰一人ハッピーな会社生活を送る事が出来ない。

日本人は談合をする事への罪悪感が少ない。
僕は、これを農耕民族のなせる業かと思ってきたし、過去に自分も同じ事をやっていた経験もある。
しかし、海外では談合へのペナルティは日本とは比べ物にならないほど厳しい。
密告制度が効果を発揮している中では、今後は隣近所の仕事仲間等を頼りにしないで、ただただ競争社会を生きていくしか道がなくなってしまった。
これもまたグローバリゼーションだろう。