昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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飯島愛が死んだ

昨日、機内で四つのスポーツ新聞を読破した。
全ての一面は「飯島愛変死」報道で、中には、「自殺」と踏み込んだ記事もあった。
そしてその内容は全て、彼女のアダルトビデオ主演女優からの成り上りサクセスストーリーを紹介し、突然の死によって才能が消滅したのを惜しむものだった。
彼女を嚆矢として、その後有名になる為にまずはAV嬢を目指す輩も増えたので、それなりにパイオニアだったのだろう。

しかし、アダルト業界を卒業後タレントに変身、ちょいと気の利いたコメントで頭角を現し、後半は文化人気取りだったが、僕から見れば最後まで元AV女優のキャリアが珍しがられる際物タレントとしか思えなかった。
彼女は、自分の過去を赤裸々に語ったと評判だった自伝小説で一応文化人としての評価を得た積りだったらしく、元AV女優だった事に触れられるのを事の他嫌がったと言う。
しかし彼女の自伝小説は所詮小説でしかなく、最も都合の悪い事は絶対に書かない。
「大久保松恵」、生前は決して語られる事のなかった彼女の本名だ。
彼女は、芸能界を引退してもなお、決して本名の世界には戻っていない。
芸名の華やかさに比べ、いかにも地味で平凡な名前の時代には、人に言いたくない過去が隠されているに違いない。
だからこそ、引退しているはずなのに、飯島愛の名前でブログを公開してきた。

彼女の死を聞いて多くの芸能人、友人達が弔意を示していた。
しかしネット社会では、飯島愛の評判は必ずしも良くない。
それは、AVの世界からメジャーに昇格した彼女への妬み嫉みだけではない。
彼女が過去を封印していた為に、何が事実で、どこから虚構なのかは分からないが、不良少女時代の素行について姦しい情報が溢れている。
また彼女が熱心だったエイズ撲滅運動にしても、彼女自身が患者だったのではとの揣摩臆測も絶えない。

彼女への評価が高まるほどに過去とのギャップが拡大し、それが彼女を苦しめたのは想像に難くないが、それを「赤の他人による不必要な過去への詮索」と見るか「本人の乱れた過去による自業自得」と見るかは主観による。
AVには詳しくはないが、あのような極限に退廃化した特殊な世界に飛び込む女性の感性は、自己顕示欲や功名心、果ては露出癖において普通の人たちでは想像すらできない物があるのだろう。
男性芸能人達も「AV界の女性にだけは手を出すな」と厳しく教えられると聞く。
そのような世界から這い上がろうと必死に足掻いた飯島愛は、AV女優としての過去と大久保松恵としての過去の、両方の重さに最後まで耐え切れなかったような気がする。

アダルトビデオ業界に対しては賛否両論あるだろう。
僕は、性の世界を商品化する事や、それに関わる全ての人に否定的な意見の持ち主だ。
だから、飯島愛や他のAV嬢達のタレント転身成功物語も単純に褒めちぎったりはしない。
むしろ、飯島愛の死によってAV嬢としての過去を消し去る事の難しさを自覚し、飯島愛的な成功を夢見てAV嬢を目指すような女性がいなくなる事を願っている。