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GMを救う破産法は大変な悪法

GMが破産法(チャプター11)を申請した。
直接的には100社以上の日本企業が大ダメージを受けるらしいし、間接的には世界中の自動車業界に何らかの悪影響が発生すると言われる。
それがどれほど深刻な事態になるのか、誰にも分からないのが実態のようだ。

そもそも、このチャプター11は、当たり前にビジネスに携わる人間にとっては大変な悪法だ。
何せ、いわゆる「破産太り」の典型で、今までの借金を全部棒引きにすることが出来、そこからやり直すのだから、債務者にとってはホクホクでも債権者にとってはタマッタものではない。
しかもこの結果、GMは車が生産と販売ができなくなるわけではない。
それどころか、「新生GMは不必要な部分を切り捨て、早期に立ち直る」などの提灯記事まで流されている。

日本では民事再生法がこれにあたり、経営者の刑事責任も問われないことから、会員権の償還期間が来たゴルフ場はこぞって自己破産を宣言し、会員権の価値をゼロにしてしまった。
ゴルフ場は従来通りに経営を続け、会員だけが貧乏くじを引く。
また、弁護士による民事再生法の説明では、借りた側の権利がいかに守られるかを丁寧に説明している。

今回のGMのチャプター11申請でも、GMの経営失敗には実質的なお咎めはない。
一方、大多数の債権者達は、何ら悪い事をしていないのに自分の債権を放棄しなければならない。
全く持って間尺に合わない。
しかもGMにはアメリカ政府の後ろ盾がある。
オバマ大統領は、「これから新生GMの始まりだ」と演説し実質的にGMを救ったが、このチャプター11の結果でGMの債権者が破綻しても知らん顔を決め込む。
GMは、アメリカの代表企業で、選挙に影響があるので救われた。
しかし、長年にわたってGMからの過酷なコストリダクション要求に真摯に対応してきた下請け業者だけは、代金を回収できない。
GMが、契約に基づいて購入した品物の代金を払わなくて済むなんて、こんな馬鹿な話はない。

その昔。シェークスピアユダヤ人への差別意識丸出しで書いた「ベニスの商人」では、金を貸して取り立てる側よりも、借金をして払わない側を善玉としている。
公的資金を投入してまでGMの再建を目指すのなら、GMを頂点としたピラミッド構造の末端企業へも資金支援をしてくれないと、例え今回のチャプター11でGMが一時的に立ち直ったとしても、誰もGMの車なんて買う気がしないだろう。