昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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台湾のお客さん

ちょっとしたハプニングが発生、今、台湾にいる。
長らく一緒に協力してきた顧客が、「3月末で事業を止める」と言い出したからだ。
面談した相手は女性一人と男性二人、いつも窓口としてアレンジしてくれた大事な仕事仲間達だ。
「何故だ?」
当方、三越を突然解任された時の岡田元社長と同じように聞いた。
対面の男性が、
リーマンショック以降、親会社からの資金援助が細った。
・技術的に、ブレークスルーが出来なかった。
・顧客を充分に確保できなかった。
と冷静に理由を挙げた後、「ただ全て時間が足りなかった。後一年あれば全部解決できたのに残念だ」と、搾り出すように言った。
 
「あなた達はどうなるのか?」と聞くと、「女性は親会社に帰る。所長は未だ決めていない。自分はやはり会社を辞める」
当方、何も言えなくなった。
黙っていると、「事業がつぶれるなんて誰も思っていなかった。何が起きるかなんて誰にも分からない。またどこかで一緒に仕事が出来るかもしれない。Take it easy!」と逆に励まされた。
「では」と席を立とうとしたら、「ランチを食べよう」と言い出した。
これには心底驚いた。
3月末で失職する人達だ。
その後は、もう会うこともないだろう。
それなのに、食事を用意してくれていた。
「会社の調子が悪いから、こんなものしか用意できなかった」と、オムレツを出してきた。
当方、「これは絶対に残してはいけない」と一所懸命に食べた。
決して格別に旨いものではなかったが、彼らの気持ちがうれしく「おいしい!と同時に思い出に残る食事だ」と言った途端、不覚にも涙がこみ上げてしまった。
 
食事も終り、いよいよお別れとなった。
最後に「何か我々にアドバイスはないか?」と聞くと、「今までのサポートに感謝する。貴方達は素晴らしいパートナーだった」と答え、更に、「これ持っていけ」と小さな名刺入れのお土産までくれた。
最後まで一切恨み言を言わず、笑顔を絶やさなかった彼らに、当方感動を覚えた。
「今度日本に来る時は、必ず連絡してくれ。必ずだからね」と念を押して帰路に着いた。
出会いは楽しいが、別れは辛い。
ましてや今からの彼らの境遇を考えると、どうしても感傷的になる。
それでも最後まで誇り高く対応してくれた彼らに、感謝感謝の思いだ。