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有馬稲子の元カレ映画監督

日経新聞の「私の履歴書」は、結構面白い。
功なり名を遂げた人の自伝なので大方は自慢話のオンパレードなのだが、珠に想像を絶する波乱万丈の人生絵巻が語られる事があり、書き人の人間味に触れる事が出来る。
今連載中の有馬稲子の場合は、今までの女優さんの履歴書にはなかった「色恋沙汰」が何と四日間にわたって懇切丁寧に描かれ、大いに楽しめた。

彼女曰く、「ある映画監督と不倫の恋に落ち、裏切られた」と、まさに恨み節の羅列。
この映画監督があの市川昆である事は、彼女が出演した映画のリストを見れば一目瞭然だ。
市川昆と言えば日本映画史に残る名監督で、東京オリンピックの記録映画はあまりに芸術的過ぎて時のオリンピック委員連中に理解されず、「もっと選手と記録を映せ」と批判された事を思い出す。
また常に紫煙をくゆらせる大の喫煙家で、そのダンディーさもまた売りだった。

その市川昆が有馬稲子と道ならぬ恋に落ちているのは、公然の秘密というよりも誰もが知っているスキャンダルだったし、彼女が中村錦之助と結婚した時点で終了したものと思われていた。
しかし今回の履歴書では、中村錦之助有馬稲子の結婚を邪魔し、結婚後も密会する事を強要、駄目なら自殺を示唆、彼女が入院中の病室で中村錦之助と鉢合わせした時に片隅に隠れた醜態、そしてなんと子供を堕胎した事まで告白された。

恋する中年男の純情話との好意的見方があるかもしれないが、一般的には年寄りの狂い咲きと見られがちで、往年の名監督も形無しだが、問題なのは市川昆が既に二年前に物故している事だ。
死人に口なし。
残った方が好き勝手に相手を罵っても、全く反論できない。
これは男女間の揉め事の報告にしては、大いに不公平だ。

そもそも家庭を顧みず、不倫の恋に走った市川昆に問題があるのは間違いない。
有馬稲子にすれば、「いずれ離婚する」との約束を破った市川昆の不誠実さを許せないのだろう。
しかし、(さほど詳しいわけではないが)オトコとオンナの出来事なら、責任は半々だろう。
それなのに、まるで欠席裁判のように一方的に非をあげつらわれる。

今回の教訓としては、幸か不幸か不倫のチャンスに巡りあった場合でも、執念深い相方は避ける事。
次に、不幸にして相方が有馬稲子タイプだった場合は、絶対に先に死なない事。
マァ、当方のような小市民にはまるで無縁な愛憎物語でした。