昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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三大コンプレックス

当方、物心ついて以降、高所恐怖症、狭所恐怖症、先端恐怖症の三つのコンプレックスが悩みの種だった。

高所恐怖症は、中学生の頃、前が丸見えのデパート屋上の階段で、腰が抜けた時に自覚した。
先端恐怖症は、谷崎潤一郎の小説「春琴抄」で、丁稚の佐助が針で目を突く場面を読んだ時に、自分の眼を突かれた思いに駆られた時に始まっている。
狭所恐怖症は、約40年前、博多から東京まで七時間かかる新幹線を利用した時、停車した最後の名古屋から東京までの二時間が我慢できなくて、狭い空間から脱出したいと切望した時からだから、かなり年季が入っている。
いずれのコンプレックスも、長い付き合いだが、生きていく上で不便な事この上ない。

仕事柄出張が多いが、名古屋以外は飛行機を利用する。
高所恐怖症なので窓際は大の苦手、席は必ず通路側をとる。
しかし、高度一万mはあまりに高い。
むしろ開き直る事が出来るようで、諦観の境地で飛行機の利用は気にしなくなった。
今や、栄光のJALダイヤモンド会員の資格をも有する。

しかし、訪問場所によっては、どうにも飛行機利用が不便な場所がある。
昨日がその典型で、中国地方の福山まで出かけた。
行きは、大阪に用事があったので、伊丹空港経由となったが、帰りは丸々新幹線、
何とか飛行機を利用できないかと、岡山からの便も検討したが、移動時間や待ち時間を考えると、かなり余計な時間を要する事が判明。
結局は、当初の予定通り新幹線利用に落ち着き、その結果、何と4時間近い長旅となった。

スポーツ新聞や文庫本を買い込み、準備万端で新幹線に乗り込んだものの、すぐに退屈する。
身の置き場がなくなり、何とか眠ろうと努力したり、車内販売でコーヒーを飲んだり、様々な気分転換を試みるが、効果の程はさっぱり。
本来なら、停車する度に駅のホームに降りたい誘惑に駆られるが、乗り遅れる恐怖感から実行した事はない。
何とか東京駅に到着すると、心底ホッとする。

狭い空間の一か所にとどまる時間は、三時間が限界だ。
それ以上時間がかかる場合は、一旦乗り込んだ以上、降りるまで全く他に選択肢がない飛行機の方が良い。