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アラブの政情不安で困ってしまう

エジプトのムバラク政権が崩壊した。
民主主義国家ではありえない程長期に亘って政権を維持し、腐敗も極に至っていたようだ。
一族の私的財産は、5兆円とも言われている。
本人は80歳を遥かに超えているのだから、いくら遺産があっても使いきれるものではない。
しかし一族郎党にとっては、ムバラクブランドで少しでも蓄財に励みたかったのだろう。
本人がどんなに清廉でも、権力の座に着いた途端、あらゆる誘惑が降りかかり、結果として腐敗する。
自ら権力の座を離れる自浄能力などは、どこの為政者にも見当たらない。
別段発展途上国だけでなく、日本でも世襲代議士が引きも切らない。
政治家は、利権団体のピラミッド構造の頂点に位置するので、政治家の個人的な正義感などあっと言う間に消滅してしまう。

それはさておき、ムバラク政権の崩壊は、我が日本経済と無縁な物ではない。
言い訳が利かない自業自得で崩壊したムバラク政権だが、アラブ対イスラエルの緊張緩和に果たしていた役割は大きい。
結果として、原油の供給と価格を安定させてきたのも事実だ。
スエズ運河が安定して利用できたのも大きい。
アメリカもエジプトは建前上民主国家として支援してきたが、実態は典型的な独裁国家の矛盾に耐えきれず、あっさりと見限ってしまった。

エジプト国民が、自由な国家を求めた心情はよく分かる。
アラブ諸国は、我々から見ると大矛盾の塊のような部分があり、大国サウディアラビアでも王様連中の腐敗堕落は目を覆う程で、その反発を抑える為に最も戒律の厳しいワッハーブイスラム教で国家を統治していると言われる。
またチュニジア、エジプトの政変は、早速周辺諸国へも影響を与え始めて、バーレーン、イランもきな臭い雰囲気が高まっている。

ムバラクやアラブの腐敗為政者には全く同情の余地はないが、連中が失脚すると結果として、原油価格高騰が予想される。
そうなると、我が日本経済にとって、全く迷惑な事態が到来する。
我が方も、製品値上げに動かざるを得ない。
しかしデフレの世の中で、そうは簡単に問屋が卸さない。
来期の収益悪化が目に見えて来る。
ボーナスもカット、賃金も上がらず、更に不景気が深まる。

アラブでも、富の分配が上手くいかず、格差が拡大、若者が職にあぶれ、且つ物価が上がっているらしい。
これじゃ、今迄の政権への不満が高まり、ドンドン民主化要求がすすむ。
しかしアラブの民主化とは、イスラム原理主義の高まりの恐れも強い。
原油はアラーの贈り物」とか、「スエズ運河の通行禁止」とか、我々の迷惑などまるでお構いなしの政策を打ち出す可能性がある。
遥か遠いアラブの政変に対しては大筋賛成なのだが、我が家の家計を直撃するのが辛い。