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菅直人とエネルギー政策

菅直人の評価が、やや回復しているらしい。
突如として、浜岡原発停止を決定した事が好感を呼んでいるとの事。
裏を返せば、福島の現状から、如何に国民が原発事故を恐れているかを表している。
我々は、政府(当時は自民党)や原発関係者の「日本は技術力が高いから、原発は安全」との説明を、まるで無批判に信用していた。
しかし、一旦原発が事故を引き起こすと、今の技術では制御不能の化け物になってしまう。
福島原発は、事故発生以来二カ月を優に超したが、日々刻々事態は悪化の一途であり一度として好転した事がない。
福島の事故は、「原発運転は神の領域にある」、そんな事実を我々に知らしめた。
日本でもこの程度だったから、世界中で原発を安全に稼働させうる技術は未だに確立していない。

社民党福島瑞穂は、浜岡原発は極めて危険な地震域の中心部に存在しているから停止した方が良いと従来から強く主張をしていたし、市民運動家上がりの菅直人が、人気回復の為に国民受けを狙って浜岡原発停止を決めたのは、理屈としては分からないでもない。
浜岡原発停止が支持されるのは、潜在的に続いてきた日本国民の原発への不信感だからだ。
しかし菅直人のエネルギー政策には、全く一貫性がない。
彼はその後、原子力のエネルギー利用は継続すると発表した。
また問題の浜岡についても、現在高さ15m規模の津波対策工事が完成すれば、再稼働を明言している。

これはおかしい。
そもそも福島だって、想定外の地震津波の影響で暴走したものだ。
15mの津波は既に実績済みの物で、浜岡やその他地域の原発では、更なる想定外の事態に備えなければならない。
これは、今の技術レベルでは想定外の事態が発生した時に、原発の安全稼働が保証できない事の証明だ。
浜岡原発停止は、このような考え方がベースになければならない。
更に国民感情からも、また何より地元の恐怖心を考えれば、一旦停止した浜岡や、現在停止中の原発を再稼働できるはずがない。
菅直人は、エネルギー源としては原子力を利用しない方針を打ち出さない限り自己矛盾に陥る。

エネルギー政策は、国家運営の要だ。
菅直人が唐突に打出した浜岡原発停止は、将来の日本の進路を決める重大な岐路となる。
しかし、肝心の菅直人が、その重大さを自覚しているとは思えない。
支持率が少々上がっても、浜岡原発停止は所詮はポピュリストの思いつき政策でしかない。
そんな軽佻浮薄な総理大臣が居座っている事もまた、福島に匹敵する程の日本の危機だ。

現実には、原発がなければ電力は不足する。
だから原発を停止させる事は、生産に支障をきたし、経済が低迷し、景気が悪化する。
それでも原発は不安だからを全面撤退し、景気後退を覚悟するか、あるいは少々リスクがあっても原発による電力確保を優先するのか、問われるのはその点であり、中途半端な、あるいは総花的な方針はあり得ない。
当方、個人的には景気を優先したいとも思うが、しかし原発が我が家の近くに来るのは嫌だ。
だから不自由な不便な生活を覚悟し、やはり原発は全て停止するべきと思っている。