政治家の場合、公約を守れない事を「嘘つき」と言うと、ほぼ全員が該当する。
政治には万能薬、即効薬はないはずなのに、とにかく一票が欲しいものだから、選挙運動中は「私、我が党に投票いただければ、あらゆる問題をたちどころに解決します」とか、「今の苦境を解決できるのは我々だけ」とか、誇大宣伝に努める。
我々の仲間内ではこんな事を言う奴は、大風呂敷、法螺吹きと見られ信用されないのがオチだ。
少しでも嗜みやしおらしさがある人間は、こんな気宇壮大な話はしない。
現に政権交代で民主党の世の中になっても、我々の暮らしはちっとも良くなっていない。
しかし政治家は、まるで臆面もなく、自分が如何に優れた人材かをアピールしなければならない。
まともな神経ではやっていけない業種だ。
一昨年の選挙で民主党は、マニフェストに「税金を上げずに、福祉を充実させる」ような、全く矛盾した政策を打ち上げた。
それまで散々税金を食い物にして利益誘導してきた自民党から、「マニフェスト実行には財源がない」と指摘されると、「霞ヶ関にはタンマリ埋蔵金があるから大丈夫」と言い切った。
しかし実際は、当初大喝采を浴び期待を集めた事業仕分けでも、目標の金額に遥か１０％にも及ばず、看板政策が悉く資金不足で頓挫。
すると今度は、政権交代の金看板だったマニフェストの見直しが必要と言い出した。
これは詐欺だろう。
同じ民主党内でも、政治家の姿勢としては小沢一郎グループの「マニフェスト厳守！」の主張の方に一貫性があるが、これは財源の裏づけがない現実離れの選挙対策用バラ撒き政策でしかない。
出来もしない公約を守れと言っているのも、出来ない事が分かったから臨機応変に公約を変えると言っているのも、いずれも五十歩百歩の詐欺行為。
更に、政権担当能力のなさは隠しようもなく、消費税率アップ、TPP参加、尖閣列島問題等全てで行き詰っていた所に、大震災、原発問題が降りかかり、最早どの問題一つ解決の目処すら立っていない。
本来ならやはり、掲げたマニフェストが妄想でしかない事が判明した時点で、民主党は政権の座から下野するべきだ。
恥を知る人間達ならば、自分達の主張が達成できない状況になれば、潔い行動をとろうとするものだが、一度権力の座の甘みを知った民主党の政治家連中には、無理な相談。
今までチョンボ失政の連続なので、次の選挙での当選は、絶対に覚束ない。
ならば、解散だけは避けたい、国会議員の身を守りたい一心で、菅直人の不信任決議案を否決してしまった。
少しは後ろめたかったのか「菅直人は総理大臣辞任を約束したから」と言い訳していたが、不信任案が否決された途端、何と腹黒い菅直人は「いつ辞めるとは言っていない」と、前代未聞の居座りを決め込む。
そこまでの腹黒さは予想できなかった民主党の執行部連中は、右往左往を繰返すばかりで、何一つ有効な手立ても思いつかない。
とうとう国会会期の７０日延期、実際は菅直人の８月までの延命を認めてしまった。
姑息な手段を弄してでもひたすら総理大臣にしがみつく菅直人は、もはや「嘘つき」とか「権力の亡者」との例えでは不充分なほどの破廉恥漢として、世界中に日本の政治空白を曝している。
これでも民主党若手議員に対しては「総理大臣の地位に恋々としているわけではない。むしろ（辞任を発表して）清々している」と話したと言うのだから、ブラックジョーク以下の男だ。
これほどの欺瞞だらけ、人品骨柄に問題のある総理大臣など、空前にして絶後かもしれない。
事ここに至ると、菅直人が演じる断末魔の足掻きぶりや、恥知らずな執念の発露を楽しむ方が健康に良さそうだ。
所詮、国会議員なんて期待する方がおかしい。
こんなモノだろう。
