昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

強いリーダーシップよ、さようなら!

日本企業の弱点として、「決断の遅さ」が挙げられる。
「根回し」NEMAWASHIが英語で通用するほどだから、推して知るべし。
日本では、全員一致の結論が最も重要視される。
海外企業ではこんなことは少ない。
たいていは、強烈な個性を持つ経営者が、トップダウンで決断し、あっという間に行動に移る。
先進国のアメリカ、中国、韓国だけでなく、発展途上国のでも同じ傾向だ。
むしろ日本だけが異常だとも言える。

確かに環境変化が激しい昨今で、伺書も持って関係部署を回る日本のしきたりはアナクロそのものに見える。
そんなことをやっている間に、海外のトップ企業はサッサと意思決定の上、果断な投資に踏み切る。
日本企業がやっとその気になった時には、すでに外国企業が有利な位置を独占し、活躍の場が狭く限定されてしまう。
そんなこんなで、国際市場での日本企業の衰退は極めて顕著になっている。
現在国際的に通用するのは、抜きん出た技術を持つ中小企業か、自動車業界のトヨタ、ホンダ、日産程度しかない。
一昔前までは花形産業だった家電や半導体は、すでに韓国、台湾企業の後塵を拝しているし、重厚長大産業は欧米の巨大企業の足元にも及ばない。

追い込まれた日本企業は、弱点克服狙いで、慌てて欧米型経営手法を取り入れる。
日本の経営者が、口では「やれドラッガーマネジメント」だの、「やれ選択と集中」だの、アメリカ発の経営学を信奉する。
が、彼らの本質的DNAは、いかにも日本的なゴマスリの働きぶりを評価されて偉くなった連中ばかりだから、所詮は木に竹を接ぐ様なもので、なかなかうまく機能しない。
付け焼刃でしかないのに、理屈を勉強したので、これで自分達は国際的に通用すると信じ込んでいるのは滑稽でしかない。

そもそも日本人には、強いリーダーシップは似合わない。
日本人は常に周りの気にしているし、周りと同じことをしていれば安心する。
独断専行は、前例のないことへの挑戦であり、日本人は最も苦手としている。
オーナー企業でもない限り、西洋被れした企業の大半は、例え「強いリーダー」と称する経営者が現れても、本来的にはそんな実力はないのだから、結局は経営に失敗する。
しかしながら多くの日本人は、ないものねだりで、強いリーダーに憧れている。
「Yes」「No」がはっきりしていると、中身がなくても「出来る」と信じ込んでしまう。
しかしこれは事態を単純化して説明しているだけで、実は簡単に割り切れる物事の方が少ない。
強いリーダーは、必ず脆さを胡散臭さを併せ持つことを理解しておかないと、いつもながらの期待外れ劇を繰り返し見てしまう。

政治の世界でも一緒で、橋下徹石原慎太郎のアップテンポのセリフは小気味いい。
彼らに任せると、積年の揉め事も一気に解決できるのではと、ついつい期待してしまう。
しかし石原慎太郎のテレビ出演を見ると、既に人の話を聞かないし、説明は冗長、冗漫でキレが悪いなど、耄碌ぶりが顕著になっている。
橋下徹は、素人政治家を大量に集めたお山の大将でしかなく、しかも人気取りに躍起だった食わせ物の東国原英男とか一言居士の中田宏とかの力を借りないと、政界では存在感を発揮できない。
既成政党がだらしないものだから、橋下徹日本維新の会が一番人気のようだが、現時点では、そんな程度の政治家でしかないはずだ。

日本型のやり方は、確かにまどろっこしい。
しかし民主主義とは本来このようなものであり、一刀両断のリスクを避ける人間の知恵の部分がある。
グローバル化時代の分かりやすさ」の謳い文句は、必ずしも日本の為にはならない。
国際化の潮流に乗った経営者も政治家も、混迷する現状を打開する処方箋を持っているわけではない。
リーマンショックで一番打撃を受けたのは、国際化を進めていた企業だった。
新鮮な発言で人気を博した政治家のほとんどが、インチキ野郎だった。

であれば、むしろこんな時代だからこそ、反面教師の、ユックリ古臭いモノに戻ってしまってはどうだろう。
企業は、有りもしない国際競争力などに努力せず、乏しきを分かち合う横並びの談合体質にも戻る。
政治は、何をやってもどうせ一緒なら、いっそ出来もしない「決める政治」など諦めて、老害の派閥政治に逆戻りをして、国際的には誰が文句を言って来ようと、徹底的に保護政策を打ち出す。
そして我々一般庶民は、利益が上がらないのは経営者の無能の所為、生活がよくならないのも無能な政治家の所為と、何でも人の所為にして、いつも文句ばかりでストレスを解消する。
わずか20年前までは、日本はこんな常識が蔓延っていた。
ところがアメリカが仕掛けたグローバル化に、中途半端な覚悟で乗ってしまって以降、日本の利益よりも海外への配慮が優先されてきた。
こんな下手な国際化でハイエナ国家から骨の髄までしゃぶられるくらいなら、北朝鮮やイランの外交術を参考に、我が儘放題の国になってどんなに非難されようと我が道を行く覚悟を持つ方が良い。
今日のスローガンの「先進国としての責任」など御免蒙って、目指すは誰もが手を焼く発展途上国の我が儘国家!
どうせうまくいかないのだったら、少なくとも外国の物真似に興じるようなリーダーの口車に乗るよりも、こっちの方が結果の諦めがつく。