昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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研修会に参加しました。

この10月に、氏も育ちも違う二つの組織が合流した。
会社には世話好きがいるもので、早速社内融和のための催しを計画する。
酒を飲んで大騒ぎ程度なら苦にならないが、事業文化融合のための研修会となると結構大袈裟になる。
結果として、三連休の二日間、首都圏のとある施設での研修会に参加した。
本来ならご機嫌でゴルフに向かう時間に、カバンにテキストを持ち込んで都心に向かう。
電車こそ混んでいないが、気分は晴れない。
開始予定時間の30分前には会場に到着するが、参加者には真面目な連中が多いようで、既に大半がスタンバイ状態。
半分は見知った顔だが、残り半分は、顔と名前が一致しない。
まずは自分の部屋で身支度し、缶コーヒーを嗜む。
しかし残念ながら、コーヒーの生命線、例のふくよかな香りが感じられない。
マァ120円で贅沢を言えば、罰が当たるか。

9時、自己紹介から研修開始。
研修の講師は、
・一流企業に就職したが日常のつまらない業務内容に不満を持ち、躊躇なくドロップアウト
・その後、アメリカ留学でMBA取得、英語ペラペラ。
・帰国後、同じような経験のどこぞの先輩に誘われ、ベンチャーコンサルタント会社に入社。
・40歳前後で、副社長の肩書。
・痩身、メガネ着用で、几帳面で神経質だが、声が大きく、自信満々。
と、ほぼ例外ない特徴を持つ。
今回も、ゲーム進行の隊長役を演じるので、傍目には滑稽なファッションを厭わず、必死に全員の参画意識を高める姿は一種のチンドン屋であり、エリートだった昔を偲べば痛々しくさえ感じる。

先ずはゲームで、堅苦しい雰囲気を和ませるのが研修会の常套手段で、今回はチーム戦の宝物探し。
講師が参加者を六チームに分け、「お互いの情報交換と資源融通はOK」と説明するのがミソだが、ゲームとは言え当初は隣がライバルと思っているので、当然ながら自分の情報を隠し、相手の情報を探る。
最初に自分のチームに与えられた資源は、一切他のチームに融通する気はない。
こうしてお互いに競い合ってゲームを進めていくが、成果は上がらない。
日程の六割が終了した時点で、満を持して隊長が登場、「これはチーム対抗ではなく、会社全体で成果を上げるゲーム、だから最初から情報も資源も融通できるといったでしょ」と種明かしをする。
実は当初の隊長説明では、目標が全体の利益とは一言も言ってはいないが、よくよく聞けばチーム対抗とも言っていなかった
ここからチームを超えた一体感が高まり、結果として、当初の成果見込みを大いに上回る。
全員が協調と連帯の重要さを知り、目出度し目出度しでゲームが終わる。
夜の懇親会で、隊長役の講師に、「あのゲームは最初にチーム同士が競争するから成立する。最初の説明で、これはチーム対抗ではないと見破るヤツが出たらどうするの?」と聞いた。
彼は、「全員が競争に燃えるのでそんな人は出てきませんが、万一そうなっても資源配分に支障をきたすようになっている」と答えた。

僕はその昔、スーパーのレジの秘密を聞いて、驚くやら感心するやらの感想を持ったことがある。
横一線に並んだスーパーのレジは、常に全部が稼働していることはない。
あれは顧客数に応じて、スーパー側が稼働するレジの数を決めているらしい。
要は最初から、必ず並ばせ行列を作るようになっているのだ。
わざわざ並んで物を買う時に、わずか百円の買い物で済ませる人はいない。
折角並ぶのなら、「あれも買おう、これも買おう」と、衝動買いをするものらしい。
ご丁寧にレジのところにも、チョコとかガムとかを置いて、最後の衝動買いを勧める。
ドンキホーテの商品は、雑然と陳列することで割安感を強調している。

人間の深層心理を研究し、ビジネスに生かす。
他にも様々な手法があるが、この手の心理分析は、アメリカの学問は進んでいる。
研修会は、極論すると「統計学」と「心理学」から成り立っている。
コンサルタント会社名が必ずカタカナなのも、講師が副社長なのも、参加者への目晦ましの一種だ。
講義そのものには、別段特別な発見があるわけではない。
我々の日常業務を、分かりやすい言葉で定義し、分類し、グループ化する。
そのグループごとに、有難い行動指針が授けられると、如何にも未来が明るくなった気がする。
自分の来し方を振り返り反省し、今後は隣の人の支援と協力を得ながら仕事をしようと思うものだ。

このような共同作業で、今まで知らなかった人の顔を知り、性格の一端を理解し、今から一緒に仕事をする同志感が芽生えれば、それが事業の一体感につながる。
結果としては、それだけの成果しかなかった。
しかし、金さえ出せば誰でも雇える部外者でしかないコンサルタント会社に、それ以上を期待する方がおかしい。
決して安くはないコンサルタント費用も、今から事業に携わる人たちの連帯感を醸し出せれば、それだけで充分に意味があった。
そうすれば、貴重な休日を二日間犠牲にした研修会も意味があった。
ト、オモイタイ........