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選挙で勝っても負けても

参議院選挙結果は、お約束の自民党圧勝劇、公明党も躍進。
そして絵に書いたような、民主党大惨敗と第三極の伸び悩み。
これでネジレが解消され、六年ぶりにやっと政治の安定が実現される。
今回の選挙結果を普通に解釈すると、
  ・やっと、次々と総理大臣が変わった先の自民党政権時代から、暗黒の民主党三年半に決別。
  ・本格的経済政策が実施され、景気も回復するに違いない。
  ・中国、韓国に舐められっ放しだったが、これで日本の立場を毅然と主張した外交が展開される。
となるはずだ。
しかし日本人は、結果が一方に偏ると無意識のうちにバランスを考えてしまう。
  ・自民党は図に乗るな。
  ・何でもやっていい訳ではない。
  ・今こそ野党の意見を謙虚に聞くべきだ。
「良識的マスコミ」の論調は、大方こんなところだ。

しかしこれだったら、一体何のために選挙をやったのだろうか。
どの政党も、全員当選を狙って選挙戦を戦ったはずだ。
その結果が与党の大勝利になったのだから、民主主義のルール上は、自民党公明党に国家運営を委ねたと考えるのが普通だろう。
しかしテレビを見ていたら、大敗した民主党渡辺周は「自民党は驕るな」と主張していた。
比例でたった一人しか当選しなかった社民党福島瑞穂も、圧倒的に勝った事で自民党公明党政権運営のリスクが高まると、声高に喚いていた。
「大勝した側は、謙虚に敗者を思いやり、むしろ自己主張を抑え気味に政権運営するべき」とは、
一見もっともらしい意見だが、これでは勝っても負けても、ネジレが解消されてもされなくても、結果は何も変わらない事になってしまう。
開票途中で野党の大失速が確実になった時、「ネジレている方が良い事もある」と発言した輩もいたが、これなど何をか況やだ。
全面的に良い事は当たり前に推進されるし、悪い事は淘汰されるので敢えて問題にならない。
与党、野党も一緒で、どちらかが全面的に正しいのなら、敢えて選挙で主導権を争う必要もない。
むしろ、いずれにも良い面も悪い面もあるので、事の処理が厄介なのだ。
両方並存が出来ないので、やむを得ずどちらかを選択しなければならなくなる。
その手段が、選挙となる。

コメンテーターの大竹まことは、もっと訳が分からない。
福島の原発被災者が、遠く百kmも先の投票場まで出かけ、悩んだ挙句結果として自民党に一票を投じた、この重みを考えなければならないとか、激戦の東京地区で、山本太郎は四位、60万票以上を獲得、渋谷地区は異常に盛り上がったとかを力説していた。
言いたいのは、世の中圧倒的に反原発なのだから、例え自民党が勝っても原発を推進するべきではない、その一点のようだ。
しかし東京地区を言うのなら、トップ当選だった丸山珠代は、山本の倍の票数を取っている。
そしてその丸山は、選挙で不利にならないよう「原発推進」とは話さなかったかもしれないが、少なくとも山本みたいな原発絶対反対の立場ではない。
また福島の被災者が、結果として原発再稼動を模索している自民党に投票したのなら、むしろ原発絶対反対の野党勢力のだらしなさを論うべきであって、それを持って自民党を攻撃しても何の意味もない。
しかも山本には、週刊新潮から支援団体の胡散臭さが指摘されている。
60万票取ったから意見が正しいわけではなく、今回の選挙結果は、山本は東京選挙区で四番目に票を集め、晴れて参議院議員となったに過ぎない。
むしろ今後、政治家となった山本がどれほど国民の支持を得る事が出来るのかで、原発稼動が進むのか、はたまた原発廃炉になるかが決まってくる。
現時点では、山本が獲得した60万票は、その活躍の舞台が用意したモノに過ぎない。
大竹まことも、山本太郎が当選した事で、国民の意思は原発絶対反対と早とちりしてはいけない。

「決められる政治が必要」と言っておきながら、決めると、「それは多数派の横暴」とか「思い上がり」と言われるのでは選挙をやった意味がない。
百家争鳴は民主主義の原則だが、具体的な政策は多数を占めた側の意見を採用するのも民主主義だ。
その結果については、次の選挙で審判を受ける。
前々回の衆議院選挙では、民主党が圧勝し政権交代が起こった。
前回の選挙では、民主党の余りの体たらく振りが国民に愛想をつかされ、自民党が勝利し安倍政権が誕生した。
では次の選挙がどうなるのか、それは安倍晋三首相の政権運営如何に係っている。
今の世の中には、少なくともこれ以上良いシステムが見つかっていないのだから、敗者は捲土重来を期して、地道に努力するしかない。

今回の自民党躍進は、国民が安倍政権の経済政策に期待した事が最大の原因だろう。
であれば野党は、安倍政権とアベノミックスの問題点を指摘し、それを上回る提案をして国民の支持を取り戻さない限り、政権復帰はドンドン遠ざかるだけだ。