昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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人知れず問題を解決すると

いつも感じる事だが、功成り名を遂げた経営者の成功談は、総じて似ている。
逆境の中にあってもひるまず、的確で具体的な指示を与え、最後までぶれない。
果断な決断と実行力で、誰もが不可能と思っていたことをやり遂げる。
と、実に劇的な物語が用意されている。
こんな結果を残した人たちは、本人の自慢話だけでなく、周囲の賞賛も多く集まるので分かり易い。
名経営者と言われる人たちの全部が、華やかな実績で彩られている。

実はもう一つ、問題を事前に摘み取った人の功績も大きいはずだが、こっちは誰にも気が付かれない場合が多い。
本来ならもっと高い評価を受けるべきなのだが、何せ問題になっていないのだから、その価値が分からない。

地方自治体が原発を誘致すると、その途端に税金が軽減されたり、様々な設備が充実する恩恵に浴するので、そのプラス面を評価するのは分かり易い。
しかし仮に、例えば原発誘致に際して、断じてNo を貫いた自治体のリーダーについては、そのお蔭で、原発事故に遇わずに済んだかもしれないが、これは検証のしようがない。

例えば、コンプライアンス違反を是正した場合はどうだろう。
昔はさほどでもなかったが、今や企業にとってのコンプライアンス違反は、存在そのものまで否定される。
名門企業、雪印が、牛肉偽装事件で会社解散にまで追い込まれた。
山一證券は虚偽の会計報告で、廃業になってしまった。
利益最優先で事業運営をしていた企業は、多かれ少なかれ「叩けば埃が出る」部分があったはずだ。
しかし法令順守してさえいれば、利益は少なかったかもしれないが、企業にとっては大きなリスクを回避できたことになる。
ところがこれも、法令順守して問題を未然に防いだのだから、功績は誰にも分からない。

野球の場合は、事前の防衛策が目に見える。
相手によって守備位置を変えてヒットを防ぐと、解説者がキチンと褒めてくれる。
観客は全体の進行を把握できる立場なので、普通なら気が付かない事にも関心を持つことが出来る。
しかし社会や会社での出来事は、どうしても見えないものは評価の対象から外される。

多くの企業で、名も知れず偉大な実績を残したり、重大な損失を回避したりした会社員がいるはずだが、語り継がれるのは目立った人だけなのは、何とも不公平だ。