昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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キリスト教のエライ人

ザルツブルグ最後の朝は、雨模様。
11時チェックアウトなので、それまではすぐ横の公園を散歩。
その頃には雨も上がっていた。
この公園は、映画「サウンド・オブ・ミュージック」で、マリア先生と子供たちが、行進しながら「ドレミの歌」を合唱した場所だ。
大量の韓国人ツァー団体が蔓延って、大声で騒いでいた。
全員が折畳み傘を持ち、噴水や花壇の前でマリア先生のようなポーズを取って写真を撮り捲くっている。
しかし薄っぺらい顔、下手糞な化粧、下品な喋り方では、とてもマリア先生の足元にも及ばない。
尤もそれは、我々も似たようなものだが。
すると、「Doe,a deer, a female deer. Ray, a drop of golden sun. Me, a name I call myself...」と合唱するヨーロッパからの観光客集団が登場した。
こちらは発音はマリア先生張りだが、見てくれは全員オバンばかりで、我々アジア集団と大差はない。

ザルツブルグからミュンヘンに向う列車で、隣のコンパートメントにいたインド人が親しげに声をかけてきた。
小一時間喋り込んでいったので英語の勉強にはなったが、海外で親し気に近付く外国人は怪しい。
警戒しながら、話を打ち切ろうと「Thankyou.」を多発するが、いつまで経っても立ち去らない。
挙句は自分の名刺を出して、インターネットで自分の素性を調べろと言い出す。
話す内容は機知に富んでいるし、面白いが、その分こちらの警戒警報は強くなる。
「何をしている?」みたいなことを聞かれたので、「今は引退老人、65歳、妻と41回目の結婚記念で旅行中」と答えると、「自分は59歳、会議に出席してデュッセルドルフに行く」と自己紹介し、母親の写真を見せたりして、とにかく友好的だ。
日本には来た事がないというので、お世辞で「ぜひ来い、歓迎する」と言ったら、住所とメアドを聞かれたので、事ここに至れば半ばヤケクソで、しっかりと教えておいた。
「日本人とこんなに長く話してことはない。楽しかった」と喜ばれ、ミュンヘン駅では我々を見送りに来る始末で、「ありがとう」とか「さよなら」とか、我々から習ったばかりの日本語で別れを惜しみ、最後に「God bless you.」と声をかけてきた。
よくよく見れば、着ている服も、話す物腰も、なかなかに洗練されている。
ホテルについて、早速このオヤジの名前を調べると、何とインド・キリスト教のビショップで、写真入りで紹介されている。
どうやら彼の地域では、かなりエライ人物らしい。
キリスト教に詳しければ、ビショップだけで何者かが分かるかもしれないし、もしもそうと知っていたなら、もっと敬った態度で接したかもしれないものを、こちらは生粋の神道イストなので、まことに失礼をしたものだ。
しかし旅の途中で、またしてもユニークな人物と知り合いになった。
帰宅した後に、コンタクトを取ってみようと、そんな気にさせる人物だった。

ミュンヘンのホテルは、10ヶ月前に宿泊した。
人気のホテルなので、なかなか予約が取れない。
今回はやっとのことでスイーツルームが確保できたが、バスタブがない。
部屋チェンジを頼むが、スイーツにはバスタブがなく、他の部屋も満室。
今回の旅の最後の最後で、バスタブなしの部屋になってしまった。