昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

日頃の思いや鬱憤を吐露!無礼千万なコメントは削除。

浜口京子とアニマル浜口の親子関係

女子レスリングの浜口京子選手が、世界選手権への不出場を表明した。
報道によると、事実上の2016年リオデジャネイリ・オリンピック出場のギブアップ宣言であり、このまま実質的には引退するとも考えられている。
 
吉田沙保里を筆頭に、日本の女子レスリングのレベルは高い。
その中で浜口京子は、海外にも強豪選手が揃っている最重量級の選手なので、他のクラスに比べなかなか好成績を持続することができなかった。
しかしその愛らしい顔と、真摯なレスリング振りに、成績の割には熱狂的なファンも多かった。
 
しかし浜口京子の場合、何よりも注目されたのは、その両親の存在だ。
特に父親のアニマル浜口の娘への応援振りは、レスリング界だけでなく、一般の社会現象とまでとらえられ、テレビ番組では引っ張りだこの存在だった。
今回はその父親も、「京子の選ぶ道を応援する」と話しているらしい。
浜口京子アニマル浜口の親子鷹競技人生も、どうやら最後になりそうだ。
 
浜口京子は、アテネオリンピックで銅メダリストになったが、その後の記者会見で結婚願望を語っていた。
母親は賛成だったが、隣にいた父親が、「京子は選ばれた人間だから、オリンピックでメダルを取る使命がある」と、一方的に選手継続を宣言していた。
流石に浜口京子は苦笑いしていた。
その後は父親の言った通りに、ひたすらレスリング選手として精進を重ねたが、ロンドンオリンピックでは一回戦で敗退。
日本では何とかなるが、国際的には通用しなくなっていたので、現状では今回の世界選手権辞退もやむを得ないだろう。
 
童顔だが、浜口京子は今や37歳。
緋牡丹のお竜さんは、「娘盛りを渡世にかけて」生きたが、浜口京子は「娘盛りをレスリングにかけて」生きた。
緋牡丹のお竜さんは、渡世のしがらみで結婚することを断念したが、浜口京子には結婚願望が依然として残っているのだろうか?
もしもそうなら、最近は女性の結婚年齢が遅くなってはいても、年齢的には決して余裕があるわけではない。
 
娘に生半可以上の才能があったために、その娘に多大な期待をしてしまった父親と、その父親の期待に応えようと必死に努力する健気な娘の姿に、人は感心、感激し、浜口親子を称賛する。
いつも暴走気味に騒ぐ父親に対して、浜口京子がみせる細やかな恥じらいと、それ以上に父親を誇らし気に見守る態度が、理想的な親子関係とまで評価されていた。
しかし皮肉な見方をすれば、そこには親離れしそこなった子供と、子離れできない父親の姿が浮かんでしまう。
 
我が家のように、親にも子供にも何の才能も備わっていない家庭では、子供の生き様や将来など自分で勝手に決めればよいと放任する。
子供も親が頼りにならないので、学校を卒業するころには自立の道を選ぶし、またいつまでも親の庇護に依存していると、それからの長い人生を生き延びることができない。
動物の世界でも、親の役目は、子供に餌の取り方を教えるところまで。
後は子供が、単独で道を切り開かねばならない。
 
妙に才能があると、親も子も色気が出るし、諦めがつかない。
娘を「選ばれた人間」と信じていた浜口親子が幸せだったのかどうかは、彼らだけにしか分からないことだが、「選ばれていない人間」には真似ができるわけもないし、真似したいとも思わない。
しかし才能がなくても、それなりに人生は謳歌できる。
余計なストレスがない分だけ、矢張り凡人が一番だ。