昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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ゴルフのコーチ

昔と違って最近のプロゴルファーには、ほぼ必ずと言っていいくらい名コーチがついている。
世界でも最高峰のレベルに達しているプレイヤーでも、自分でも気が付かないスウィングの狂いが発生し、思い通りのショットが出来なくなる。
そんな時にはコーチのアドバイスで、微小なスウィングの狂いを修正するらしい。
 
尤もゴルフのスウィングに関しては、百家争鳴、甲論乙駁。
一打一打に命がけのプレイヤーにとっては、自分に合ったコーチに巡り合うかは死活問題に等しい。
何せ成績次第で、稼ぎ、名声が大きく変わってしまう職業だ。
その為、タイガーウッズを世界一のゴルファーに育て上げたと言われるブッチ・ハーモンでさえ、調子が悪くなるとお払い箱になる。
一世を風靡したデビット・レッドベターの名前も、すっかり聞かなくなった。
プレイヤー同様、コーチもまた、生存競争が激しい職業だ。
 
プロほどの厳しさはないが、ゴルフスウィングに関しては、アマチュアゴルファーも、ほとんど全員が一家言持っている。
そこで、他人のゴルフスウィングを見ると、ついつい口出しする人が多い。
そしてそのアドバイスは、十人十色、百人百色。
将に自己流スウィングの押し付けだが、不思議と誰もが絶対の自信を持っているので始末が悪い。
真面目に聞くと、大混乱をきたす。
よって僕は、誰のコーチも受けず、また誰にもコーチせず、まるで我流のゴルフ人生を貫いてきた。
 
そんな僕だが、ゴルフを始めて45年で初めて弟子を持った。
それは、長年連れ添った妻だ。
彼女は友人とは真似事みたいなレベルでゴルフをやってはいたが、最近亭主と同じゴルフ場のメンバーになったし、運動不足の解消にもなるしで、少々真面目に取り組む気になったようだ。
夫婦で共通の趣味を持ち、先輩格の夫が初心者の妻をコーチするのは、一見すると微笑ましい光景にも見える。
が、実際に教え教えられる現場では,そう麗しいモノでもなく、簡単でもない。
何故ならほぼ例外なく、妻たるもの、夫の意見にとなるとなかなか素直に聞かないからだ。
良かれと思ってアドバイスしても、何だかんだと反論してくる。
ショットの結果が悪かったからスウィングの欠点を注意すると、「私はこう思っていたから」と、自分の正当性を主張したりする。
果ては、「私は褒められて伸びるタイプなので、欠点を論うより、良い点を見つけて」と宣う。
赤の他人には素直なのに、夫婦だと負けず嫌いな性格がモロに出てしまう。
 
ほぼ一年間、そんなことを繰り返しながら、弥次喜多の夫婦ゴルフを続けてきた。
すると「亀の甲より年の功」なのか、遅々とはしているが、少しずつ妻の腕前が改善されてきた。
先ずはドライバーが、50%程度の確率で当たり始めた。
続いて、アプローチのアイアンが、残り距離に応じて番手を代えて打てるようになった。
一番体力が不要なパターは、依然としてバックスウィングで手前に引いてしまう悪癖が抜けないが、初心者だった頃は全部のショットが真面に当たらなかったのだから、着実に進歩しているとも考えられる。
すると現金なもので、それまでは「寒い」「暑い」と天候にかこつけて、なかなかヤル気にならなかった妻だが、「次はいつ?」と、自らゴルフを企画したりもする。
 
亭主に対しては何かと我が儘だし、不肖の弟子ではあるが、何せ最初はブランク状態だったのだから、変化分はコーチの成果ともいえる。
また妻は、一番気心の知れたゴルフの同伴競技者でもある。
こんな老後の過ごし方もまた、一興だ。