・時間の経過
・肉体の衰え
・精神面の自覚
の順番で進行していく。
時間は正確無比に過ぎ、同時に老化も着実に進んでいるはずだが、それを自覚している人は少ない。
早い話が、ボケ老人は、自分がボケているとは思っていない。
老化も全く一緒で、客観的にはドンドン老化が進み、周囲も困っているのに、本人だけはいつまでも若いと思い込んでいる。
だから「オジイチャン、あなたはボケなのよ」と言い聞かせても、「ウンニャ、俺は真面だ」と言い張る。
僕自身もそうではないだろうか?
否、そうに違いない!
と、そんなことを思い知る事態を迎えている。
実は僕は、寒い冬は嫌いではない。
何せ冬は、グッスリと眠ることが出来る。
体さえ温まれば、布団の中の居心地は、天国にも匹敵する。
尤も、天国の居心地なんて一度も経験したことはないが、きっと布団の温かさみたいなものに違いない。
ところが好事魔多し。
余りに気持ちが良いモノだから、今度は起き出すのに苦労する。
夏には4時には目が覚める早起き鳥だったのに、冬はグズグズのミノムシ状態が続く。
下手すると、8時半まで布団にくるまれている。
最後は生理的に、どうしてもトイレが我慢できなくなるまで、布団から離れることがない。
と、今まで何度も、夏に比べて冬の素晴らしさを称賛してきた。
しかし冷静に振り返れば、同じ冬でも、昨年まではこんなに遅くまで寝ていることはなかった。
たとえ寒くても、遅くとも7時には、行動開始していた。
そして凍えるような朝でも、手袋もしないでウォーキングしていた。
ところが今年は、とてもそんな気にならない。
去年よりも今年が、格段に寒い訳ではない。
そうすると、この差は一体なんだろう?
認めたくはないが、どうも体力が衰えたのではないか。
遅くまで寝ていることを、やれ眠りが深いからとか、冬が好きだからなど、適当な理屈を並べていた。
しかし単に肉体が老化したので、朝起きる時間が遅くなったと考えた方が合理的だ。
実は人間は、この世に生まれ落ちた瞬間から、死に向かって歩き始めている。
だから、楽しかった青春時代が終われば、次は当然ながら衰え始めるし、最後は朽ち果てる。
そんなことは自明の理だが、誰もが衰えていることに無自覚のまま、あるいは気が付いても知らないふりをして、毎日を能天気に過ごしている。
それは寂寞感や苦しさを避ける、人間の本能なのだろう。
そうならば敢て、自分の老化なんかに考えない方が良い。
やはり冬が寒いから、少し活動的ではなくなったに違いない。
そう思うことにしよう。