昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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初めてのCTスキャン

自分自身は、仕事で顧客を相手にする時以外では、あまり謙虚な人間とは思っていない。
どちらかと言えば、生意気で可愛気のないタイプだろう。
特に、ある種の権力を持つ人間には、無条件で反発したくなる。
例えば今まで何らかの場面で接した、警察官、裁判官、税務署員、公取委の職員、学校の教授や先生、会社の偉カツ達。
どいつもこいつも嫌いな輩で、連中に説教でもされようものなら、途端にプイと横を向いたものだ。
 
ところが、何事にも例外がある。
病院の医者がそうだ。
常日頃は権力者に歯向かうカッコ良い戦士を気取っていても、医者を目の前にすると実に卑屈でだらしなイオトコに早変わりする。
 
昨年11月に引いた、風邪の悪影響が続いている。
夜更けに咳き込むと、なかなか止まらない。
ということで、今回三度目の医者通いとなった。
いつもなら近所のかかりつけの医院に行くのだが、この医者はかなりの老体でボケ気味だし頼りない。
その所為か、いつも待ち時間なしで治療を受けることが出来るが、その成果も芳しくない。
早く治したい一心で今回は、我が家から少々離れているが、患者数の多い病院を選択した。
ここにはその日も多数の患者が押しかけていて、実に20名近くが待合室に並んでいる。
待ち時間はおよそ一時間。
やっと順番が回ってきて、医者を目の前にした途端、日ごろの傲岸不遜振りはドコエヤラ。
 
医者が徐に「どうしました?」と聞く。
当方は満面の笑み、もみ手をせんばかりの風情で、「センセェ様、実は咳が止まりませんでゴゼェヤス」。
医者「どれどれ、アーンして、次にお胸とお背中を出して」。
イイ歳をした爺ィ相手に、「何がアーンだ、何がお胸、お背中だ」とムカついたが、そんなことは噯にも出さない。
仰せの通りに、「ア~ン」で喉の奥まで見せ、下着をずらし上げる。
医者は喉チェックの次にトントンと打診をした後、「別に喘息でも気管支炎でもないので、五日分の薬を出します」と簡単に診察を終えようとする。
当方の腹の中は、「そんな投薬治療で治らないから、また来たんヂャ!」の怒りモードなのだが、表面的にはあくまで下出に「センセィ様、それでもラッセル音が気になりますデ」と縋る目つきで尋ねる。
すると「そんなに心配ならCTスキャンを撮りましょう。紹介状を書くので〇〇大学病院に行ってください」となった。
この医者の説明では、「紹介状があると、待ち時間なしですぐに撮影してもらえる」らしい。
しかし紹介状と一緒にもらった〇〇大学病院の指示書には、「30分前に必着」と書かれている。
「待ち時間があるヂャないか」と思ったが、当方の返事は「どうもありがとうゴゼェヤス」と、どこまでも弱気だ。
 
三日後の昨日、そのCTスキャンを撮りに、○〇大学病院に赴いた。
妻には、湊川決戦に臨む楠木正成の心境で、「体を輪切りに撮影されるから、これが今生の別れかもしれぬ」と言い渡し、撮影予定時間の40分前に到着。
受付手続きがすぐに終わると、「ではどうぞ」と、こちらの心の準備が全く不充分なのに、予定よりも30分以上前から撮影が開始された。
ところが手術着に着替える必要もなく、撮影台にゴロンと寝ころび「ハイ息をして、止めて」を二回繰り返しただけで「ハイ終わりました」。
この間、わずかに二分。
CTスキャンというから大検査と思っていたが、実に簡単に終わってしまい、全く「案ずるより産むは易し」だった。
 
結果は最初の病院に一週間程度で知らされるらしいが、もう一度、件の医者に対しておべっかを使えば無事放免となりそうだ。