これを受けて大半のテレビ出演者は
・協会には、「改革」ではなく、今のままでよいと考える守旧派が大量に存在している
・わずか二票の衝撃的結果だったが、却って相撲協会の病巣を明らかにした
・世論は貴乃花の味方なので、絶対にこのままでは終わらない
と、判官びいき丸出しの解説を繰り返していた。
しかし今回の理事選に関して、貴乃花を褒めちぎるのは無理筋だ。
何故なら、何故選挙になったのかを考えれば、「貴乃花覚悟の出馬」とは程遠い実態が分かるからだ。
今回もしも貴乃花一門からの候補者が一本化されていれば、無投票で理事が決まっていた。
三回に亘った貴乃花一門の打合せは、
・一門の理事候補者は阿武松にする
・今回は貴乃花は自重してほしい
事が決まったらしい。
貴乃花は、「それでは無投票になるので、自分は一票でも構わないから」と、出馬に拘ったようだ。
即ち、反協会の姿勢は鮮明だが、何をやりたいのか、やろうとしているのか、誰にも全く分からない。
一見、寡黙を貫くことはカッコよく見えなくもないが、味方を増やすことが出来なくなる。
貴乃花に関しては、前回出馬した理事長選挙では完敗だったものの、三票を獲得している。
初めて理事選に挑戦した2010年「貴の乱」では、基礎票に一門外からも三票の支持を得て当選した。
それが今回は101票中わずか二票とは、支持率2%弱に急落したことになる。
こんな状況なのに、「改革」と念仏みたいに唱えても、何一つ実行できるはずがない。
因みに、貴乃花が今回立候補するに当たってホームページに掲げた声明文には、「自由に意見を交わせる風土を作り上げることを私の目標にしたい」と書いている。
この間、あらゆる質問を無視し、何度催促されても具体的に自分の「改革」案を明らかにしていない貴乃花が、こんな目標を持っていること自体ブラックジョークでしかない。