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中国版三国志の世界

僕は基本的に、連続ドラマは見ない。
次の放送まで、一週間も待つのが面倒だからだ。
しかし今、WOWWOWで放送中の中国の連続ドラマ「三国志司馬懿 軍師同盟」を見ている。
 
その切っ掛けは、騙されたようなものだ。
10月中旬、「見忘れた人の為に」と銘打って、八話分が一挙に放送された。
三国志は昔から大好きな物語だし、一日で全話を見ることが出来るのならラッキーと。そう思い込んだ。
日本では、三か月クールで放送される番組が多いからだ。
ところが第八話を見終わっても、その進捗状況は、僕の知る「三国志」の緒の部分でしかない。
番組表を調べてみると、このシリーズは何と「全84話」の大作で、しかも週二話ずつ現在進行形で放送中。
その初っ端の部分をまとめて放送しただけで、10月時点では20話まで進んだ状態だった。
その後11月に18話までをまとめた放送があり、12月までの三か月かかって、やっと毎週の放送に追いつくことになる。
しかし最後まで見るためには、まだ40話以上が残っていることになる。
日本の大河ドラマも、大団円まで一年かかるが、中国のそれは更に長丁場だ。
 
日本でおなじみの三国志は、善玉が蜀の国王、劉備玄徳とその軍師、諸葛亮孔明であり、魏の国王、曹操と軍師、司馬懿仲達は悪役として描かれていることが多い。
しかし実際には、魏の曹操を高く評価している歴史家は多い
同様に軍師では、天才でしかも人格者、諸葛亮孔明に対して、司馬懿仲達は「死せる孔明、生ける仲達を走らす」と、赤っ恥を掻いた思慮の浅い人物と思われている。
今回の「三国志司馬懿 軍師同盟」の主人公は、その司馬懿仲達だ。
こちらも歴史家の中では、諸葛亮孔明に勝るとも劣らない知恵者との評価が定着している。
その余りの能力の高さに、魏の曹操が警戒心を解かず、重職を与えなかったこともよく知られている。
実際に司馬一族は、実質的に魏の国を乗っ取り、西晋を興しているのだからタダモノではない。
 
そもそも歴史人物の評価ほど、当てにならないものはない。
各々の視点、好き嫌いで、その評価が180度違ってくるからだ。
今年のNHK大河ドラマの主人公は、西郷隆盛だった。
テレビドラマの原作者、林真理子は、人情味溢れる大人物として、西郷隆盛を描いていた。
しかし百田尚樹西郷隆盛を、「戦好きを公言し、目的の為なら手段を選ばない男」で、「手下の相良総三でさえ、罪を着せて処刑する残忍さを持っていた」と書いている。
わずか百年ちょっと前の明治維新の頃の人物だって、人によってこれほど違う。
2000年も前の三国志の時代なんて、歴史家や作家のイメージで、どうとでも解釈できる。
しかも肝心の資料は、歴史上の勝者に都合の良いモノばかりが残っている。
だから歴史ドラマなんかは、漫画でも読むような気持で気楽に見るに限る。
 
それにしても、中国ドラマってほとんどが大長編らしい。
個人的に司馬懿仲達に興味があったので見始めたが、いつになったら終わるのだろうか?
俳優たちは若すぎるし、現代風に作り直したストーリーにも無理があるが、ここまで見てしまうと今更後には引けない。
実体験ではないが、醜女に引っ掛かったような気分で毎週の放送を録画し続けている。