その強くも脆い相撲っぷりは、見ていてハラハラするし、歯がゆい。
しかし今場所が、その雄姿を見る最後になるかもしれない。
まもなく稀勢の里が、初日の土俵に上がるが、そう思いながらテレビ観戦している。
稀勢の里は、強い力士だ。
それはそうだろう。
四場所以上に亘って勝ち続けているのだから、負けるイメージなんか湧いてこなかったはずだ。
この時、ほとんどの日本人が、「稀勢の里は必ず出世する」と確信したはずだ。
良くも悪くも、相撲バカ。
蒙古力士や学生相撲出身者ばかりの相撲界で、今では珍しくなった中学からの弟子入り力士だ。
顔つきもまた、典型的な相撲取りだ。
錦絵から抜け出したと言えばカッコいいが、一般的なハンサムフェースとは程遠い、如何にも田舎の土の香りが漂う。
その後は、その時の怪我の後遺症で休場が続き、順調な回復と思われていた先場所は、初日から連敗続きで、とうとう五日目で休場。
横審から「激励」と称する最後通牒を突き付けられてしまい、今場所、進退をかけて出場に踏み切った。
初日の相手は難敵、御嶽海。
尤も、誰が相手でも、今の稀勢の里には安全パイはいない。
精神面での脆さを不安視される稀勢の里なので、さぞや緊張しているだろう。
僕も、気分は斎戒沐浴、これが見納めかもしれないと、腹をくくってテレビを見ている。
しかし、仮にそうなっても構わない。
それで充分!
稀勢の里は、強くて、脆いから、魅力が増すと、そう達観しながら応援する積りだ。
サァ、もうすぐ稀勢の里の出番だ。
頑張れヨォ、稀勢の里!
それにしても稀勢の里、あの腰高の相撲は何とかならんのか?!