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稀勢の里讃歌

現存する唯一の日本人横綱稀勢の里
その強くも脆い相撲っぷりは、見ていてハラハラするし、歯がゆい。
しかし今場所が、その雄姿を見る最後になるかもしれない。
まもなく稀勢の里が、初日の土俵に上がるが、そう思いながらテレビ観戦している。
 
稀勢の里は、強い力士だ。
何せ大横綱白鵬が、双葉山の不滅の大記録69連勝を抜くことが確実視されていた2010年の九州場所二日目、64連勝を懸けた相撲でこれを撃破したのが、当時平幕だった種瀬の里だった。
場所前の白鵬は、テレビカメラを引き連れ大分県の双葉神社を訪問、大記録達成前からすっかりその気になっていた。
 
それはそうだろう。
四場所以上に亘って勝ち続けているのだから、負けるイメージなんか湧いてこなかったはずだ。
そんな白鵬が、完全に力負けしたのが稀勢の里だった。
この時、ほとんどの日本人が、「稀勢の里は必ず出世する」と確信したはずだ。
稀勢の里はそれ以前にも、控えから全盛期だった大横綱朝青龍を睨みつけ続け、「アイツ、ガンつけやがる」と文句を言われたこともある。
 
良くも悪くも、相撲バカ。
古力士や学生相撲出身者ばかりの相撲界で、今では珍しくなった中学からの弟子入り力士だ。
顔つきもまた、典型的な相撲取りだ。
錦絵から抜け出したと言えばカッコいいが、一般的なハンサムフェースとは程遠い、如何にも田舎の土の香りが漂う。
 
そんな稀勢の里だが、横綱になるまでは苦労が続いた。
大関としてやっと初優勝して、些かアマチャン査定で横綱に昇進。
その横綱として初めての場所で大けがをしたが、そこから当時の大関照ノ富士に連勝した奇跡の逆転優勝で、日本中が興奮のるつぼと化した時が絶頂期。
その後は、その時の怪我の後遺症で休場が続き、順調な回復と思われていた先場所は、初日から連敗続きで、とうとう五日目で休場。
横審から「激励」と称する最後通牒を突き付けられてしまい、今場所、進退をかけて出場に踏み切った。
 
初日の相手は難敵、御嶽海。
尤も、誰が相手でも、今の稀勢の里には安全パイはいない。
精神面での脆さを不安視される稀勢の里なので、さぞや緊張しているだろう。
僕も、気分は斎戒沐浴、これが見納めかもしれないと、腹をくくってテレビを見ている。
 
しかし、仮にそうなっても構わない。
横綱としての土俵は少ないが、稀勢の里は実は一年以上に亘って、日本人梳相撲ファンを心配させ、その分楽しませてくれた。
それで充分!
稀勢の里は、強くて、脆いから、魅力が増すと、そう達観しながら応援する積りだ。
 
サァ、もうすぐ稀勢の里の出番だ。
頑張れヨォ、稀勢の里
それにしても稀勢の里、あの腰高の相撲は何とかならんのか?!