昔は平凡な企業戦士、今は辣腕頑固老人の日常!

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スピーチに慣れないといけない

社会人として様々に場数を踏んでくると、スピーチをせざるを得ない状況に出くわす。

こんな時に「ここが自分の見せ場」と張り切る外国人に比べ、日本人の多くは嫌がり、尻込みする。

実際に後輩や同僚の結婚式祝辞なんか頼まれた日には、それが終わるまで食事も喉に通らない。

僕にとっても迷惑千万で、最後まで苦手意識が抜けず、スピーチは基本的には逃げ回っていた。

これは、奥床しさを美徳とする日本人の特徴とも考えられ、むしろ日本では積極的にスピーチするヤツは変わり者扱いされる。

 

 

しかし国際的仕事をする場合は、こんな時のスピーチは、日本人が思っているよりも遥かに重要だ。

スピーチの出来不出来がビジネスの成否に繋がるだけでなく、スピーチした人の人物評価にまで至ることもあるほどだからだ。

政治家にとっても、国民に政策を訴え、支持を集める能力は、スピーチの上手い下手で決まる、

八年間の任期中、ほとんど見るべき実績がなかったオバマアメリカ大統領になれたのは、最初に立候補した時に演説が上手かったからとも言われている。

 

実際に仕事の場合、顧客や関係者への感謝と期待の思いを、言葉で表さないと失礼に当たる。

「巧言令色鮮し仁」「男は黙って背中で語る」が通用するのは、日本人の間だけだ。

外国では言葉で表現しないと分からないと考えらているので、妻に対して毎日「I love you.」と語りかけないと離婚の原因になる。

 

そんなこんなで、僕の会社員の後半は、スピーチをする機会が増えた。

個人的に頼まれた場合なら断れるが、仕事となると、万やむを得ず引き受けざるを得ないことも有るからだ。

依って、好き嫌いのレベルではなく、スピーチに慣れることはマストだった。

 

しかし何度も喋っているうちに、要領みたいなものも身についてくる。

仕事のスピーチの場合

     ・最初に自己紹介と、主催者との関係を説明する

     ・この時に若干の笑いをとれる主催者のエピソードを挿入すると、会場の雰囲気が和らぐ

     ・続いて参加している会合の意義を説明し、参加できたことの感謝を伝える

     ・今後そこで自分が果たす役割の説明と、その決意表明

     ・参加者全員への感謝の思い

の順番で纏めると格好がつくが、最も大事なのは「〆の言葉」に相当する決意表明だ・

 

実はどんなに準備していても、会場には年長者や会社関係者がズラリと並んでいる。

ついつい舞い上がってしまうと、ネタや話す順番を失念することも有る。

そんな時には、全く適当に何だかんだと話をつないで、最後をこの「〆の言葉」で纏めれば、何とかなるものだ。

僕は先輩からこのことを教えられて、ずいぶん気が楽になった。

 

外国でもスピーチには、英語能力と言う、日本人には決定的なハンディが更に加わる。

しかしこれもまた、基本は日本語のスピーチと一緒だ。

むしろ外国人の方が、最初から日本人の些細なジョークにも大笑いしようと構えている、いわゆるノリの良さがあるので、大して面白くもないことを言っても妙に盛り上がってくれる。

だから、上記の内容を出来るだけ簡単な英語で纏め、野球やアメフトの地元チームを誉めておけば体裁が整う。

 

むしろ一番気を付けないといけないのは、外国人には日本では美徳の、謙遜や遠慮が全く通用しないことだ。

Im nervous.」とか、「Im shy.」なんて日本では当たり前で、むしろ好感を持たれる台詞だが、海外ではそれだけで、頼りにならない人物と認識される。

だから内容よりも、態度に気を付けないといけない。

堂々と会場を見渡しながら、個別にアイコンタクトを欠かさず、決して早口にならない。

そんなスピーチをすると、外国人の方が気を遣って一所懸命に聞いてくれる。

 

外国人は自信満々な人物を信頼するので、絶対にオドオドした態度はとらないと肝に銘じてスピーチすればよい。