ほぼ一か月、ヨーロッパを旅した。
何よりも、この間を無事に過ごせたことが有難い。
旅先、それも異国となると、もしも病気をした場合の対処が難しい。
医者に対して、症状を訴えるのが、たいそう難しいからだ。
その昔、英会話ベラベラの大先輩がいたが、その彼でも自分が患っている症状を、医者に正確に伝えることができず、適切な治療を受けるのに苦労したと話していた。
増してや、英会話ビギナーにとっては、「キリキリと痛む」とか「喉が、いがらっぽい」とかをどう表現するかなど至難の業だ
よって、旅先では健康であることが一番重要になる。
我々夫婦の旅には、添乗員がいない。
何か事があれば、その全てを自己責任で解決しなければならない。
この対処法としては、トラブルを未然に防ぐことに尽きる。
その為には、入念な準備だけでなく、各々の工程を事前に調査することが必要になる。
例えば、現地旅行会社のツアーに参加する場合は、集合場所と、そこに至る時間などを予行演習しておかないといけない。
どんなに資料に集合場所と交通手段が紹介されていても、事前に自分たちで実際に確認しておかないと、集合場所の勘違いとかが発生する。
実は自覚していなくても、海外にいると言うだけで、日本では絶対に感じないストレスがかかっている。
だから、そのストレスを解消するか、最悪でも減少させるためには、旅の間にフリータイムを設けることが重要になる。
折角海外に来たのだからと、あそこにも行きたい、ここも訪れたいとスケジュールをギッシリ詰め込むと、精神的な緊張が続き、体力だけでなく精神的にも消耗する。
ツアーの場合は、名所旧跡への訪問がコンパクトに纏められて効率的だが、早朝から夕方遅くまでせわしなく動き回らざるを得ない。
その分、添乗員がサポートしているので、緊急事態への対処も安心だろうが、個人の旅なら、余裕を持ったスケジュールがマストだ。
交通手段も、日本ほど完璧に整備されてはいない。
日本の場合は、仮にストで交通手段がマヒする場合でも、かなり前の時点で情報が公開されている。
しかし海外では、まるで突然に、且つ何の説明もないまま、電車や地下鉄がストップすることが多発する。
もっともらしく「整備不良」などと理由付けしているが、飛行機の間引きも経験した。
だから最悪の事態に備えて、複数の交通手段を考えていた方が良い。
しかしどうしても、他に交通手段がない場合は、開き直ってスケジュールをやり直すしかない。
海外では下手にスマホで電話すると、大きな金額になってしまう。
このような場面では、「原因を作ったのはお宅だ」と、交通機関のクレーム窓口で電話を拝借する厚かましさも必要だ。
英語が堪能ならば何の問題もないが、それなりの英語レベルの人には、外国人とのコミュニケーションに支障をきたすことも多い。
この場合、それが嫌だからと寡黙になるのは最悪だ。
何が何でも、自分の思いに近い言葉を思い出して、一所懸命に語り掛ければ、大半のケースでは向こうが理解してくれる。
逆のケースで、外国人が拙い日本語で質問してくると、こちらが必死にその内容を理解しようとするのと一緒だ。
寡黙、沈黙こそがコミュニケーションの敵だ。
僕自身は55歳から、しかも独力で英会話を勉強し始めたので、そのレベルはお恥ずかしい限りだ。
しかしそんな人間でも、開き直って話をすれば、表情とボディランゲッジで何とかなることを実証してきた。
外国人にも、親切な人が多い。
むしろ、親切な人の方が圧倒的に多いのだろう。
しかし中には、少数だがワルがいる。
確率は低いが、そんなワルに巡り合うと、とんでもない被害を受ける。
だから、見知らぬ人には、常に用心しないといけないのも、海外旅行の悲しい現実だ。
用心と準備!
これが海外旅行のキーワードだ。